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防災大百科

大きく揺れても命だけは守れる そんな地域を目指す

能登半島地震で最も大きな被害を受けた地域の一つ石川県珠洲市。被害をもたらしたのは激しい揺れだけではなかった。今回の地震の特徴は「津波到達の早さ」 そんな中でも日ごろの訓練と心構えがいきた防災があった。

当初の発表と異なる津波の高さ

津波の高さについて気象庁は、当初 輪島港で「1.2m以上」と発表していたが、126日に最新の調査結果を発表。津波が内陸に駆け上がった「遡上高」と、建物などに残った跡をもとにした「痕跡高」から、新潟県上越市で5.8m、石川県能登町で4.7m、珠洲市で4.3mなどと推計された。

 警報発令時にはすでに到達

2024年元日の午後410分頃に発生した能登半島地震。石川県を含む日本海側の広い範囲に津波警報と津波注意報が発表されたのは、2分後の午後412分だった。東日本大震災以来となる「大津波警報」に切り替えられたのが、10分後の午後422分。しかしその時津波がすでに到達していた場所があった。

珠洲市 すでに浸水が始まる

珠洲市宝立町で、住宅の2階に避難した住民が撮影した映像。奥に映る海から、津波が激しく流れ込む様子が映っていた。避難した住民が語ったのが「津波の到達の早さ」だった。住民は「主人はこの納屋から自転車を出そうとしたのですが、出せるような状態ではなく、もう波が一波来ていた」と話す。大津波警報が出された午後422分には、すでに浸水が始まっていたといい、自宅2階で撮影を始めた午後434分にはあっという間に濁流が押し寄せてきた。

能登町 避難を始めるも数秒後には

一方、地震発生直後に能登町を走っていた車のドライブレコーダーの映像には、大津波警報が出た午後422分、急いで避難する車の前には高齢女性の姿が映っていた。一度は通り過ぎたが、ドライバーは引き返し女性の元へ。その時、迫りくる水の音が聞こえていた。女性を車に乗せた数秒後、津波が押し寄せてきた。その様子は、前方のカメラにも...数秒前に女性が歩いていた道路にも津波が押し寄せた。

規模は小さくても到達が早い

今回、津波の到達が早かった理由の一つが「震源の位置」 午後246分に発生した東日本大震災では、震源が沿岸から離れていたため最も高い津波が観測されたのは、福島県いわき市小名浜で午後339分、相馬で午後351分だった。東北大学・災害科学国際研究所の今村文彦教授は「能登半島地震の津波は、規模的には東日本大震災よりも小さいと思うが、避難が難しい。揺れの直後に津波が来襲するということで、避難計画は場合によっては見直す必要があると思う」と指摘する。

奇跡ではなく訓練がいきた

それでも珠洲市寺家下出地区では、揺れから約5分で地区の住民を含め全員が集会所に避難。東日本大震災後、毎年避難訓練を行っていたといい、住民は「奇跡ではなく訓練がいきた」と振り返った。この地区では「何かあったら集会所」という合言葉が浸透していたそうだ。

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