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伝統×革新!"たこ坊主"こと中ノ沢こけし 世界初の自販機で匠の技が身近に
記者の視点で社会や地域の話題を紹介する「記者プレ」 今回、佐藤弘崇記者が注目したのは中ノ沢こけしについて。
福島県猪苗代町の伝統工芸品「中ノ沢こけし」に世界初の自販機が登場。個性的な表情で親しまれる"たこ坊主"が、新たな挑戦で注目を集める。伝統と革新が融合し、地域の未来を照らす取り組みの全貌とは。
◇【動画で見る】動画はYouTube 福島ニュース【福テレ】でご覧いただけます。
世界初!こけしの自販機
中ノ沢温泉にある食堂の前に設置された真っ赤な自動販売機。3000円で買えたのは...15センチほどの中ノ沢こけし。「たこ坊主」の愛称で親しまれている猪苗代町の伝統工芸品だ。
世界で初めてという中ノ沢こけしの自販機では、現在6種類が販売されていて観光客も興味津々の様子。「ビックリしちゃいました。初めて見ました。普通ないですよね。郷土色豊かというか、有名だというのがわかりますね」と話す。
1つ3000円 売り切れになることも
設置したのは、こけし職人の見習い・西村和貴さん。3日に1本のペースで売れているが、手作りで大量生産ができないため、売り切れになることもあるそう。
西村さんは「時間が経たないと売れないと思っていたが、本当に設置後からそのペースで売れているので、それもびっくりしている」と話す。
認知度アップへ
設置した理由は、中ノ沢こけしの認知度アップのため。100年以上の歴史があるが、これまでは福島市の土湯系こけしの一つとされていた。しかし、2024年の全国のコンクールで独立した「中ノ沢系」として認定された。
西村さんの師匠・こけし職人の瀬谷幸治さんは「中ノ沢こけしは後から出たので、なかなか認知してもらえなかったが、今の若い人が頑張っている」と話し、自動販売機に期待を寄せている。
こけしが地域の未来を照らす
西村さんは、自動販売機の設置だけでなく、子どもたち向けの絵付け体験を定期的に行っている。この日は、地元の猪苗代小学校で行った。体験した児童は「こけしに色をつけることとか、めったにないから楽しい」「伝統の一つだから、大人になったときに頭に入れといた方がいいと思った」と話す。
西村さんは、中ノ沢こけしを幅広く知ってもらうことで、温泉街への集客や職人の後継者が増えることを願っている。
「中ノ沢温泉のランドマークというか、この自販機を見ると中ノ沢温泉で生まれたこけしなのだと、分かっていただけるようになればいいなと思っています」
職人の集まりである「中ノ沢系こけし工人会」では、西村さんのような後継者作りに力を入れていて、職人の見習いが増えているそうだ。この自動販売機や「中ノ沢こけし」として独立したことで、こけし作りが一層盛んになりそうだ。