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親と暮らせない子どもを迎え入れるファミリーホーム その日常に密着
福テレアナウンサーが「これだ!」と思った話題を伝える「アナこれ!」
様々な事情で親などと暮らせない子どもたちを迎え入れ、養育する「ファミリーホーム」。里親か児童養護施設での養育経験がある人が、自治体からの認可を受けて自宅などに迎え入れて育てる制度で、全国に446カ所・福島県内には5カ所ある。福島県郡山市のファミリーホームを熊谷さんが取材した。
大家族のような暮らし
福島県郡山市にある「ファミリーホームいぶき」。この日の夕食は、子どもたちが好きなキーマカレーだ。食卓を囲む姿は兄弟のようにも見るが、全員血の繋がりはない。
ここには、ホームを運営する仁井田三枝子さんと、3歳から9歳の子どもたち6人が暮らしていて、3人の職員が交代で生活をサポートしている。
大声を出して笑ったり、ケンカもたまにしたり...一つ屋根の下で子ども同士が兄弟のような関係を築けるのも、ファミリーホームのメリットだ。
仁井田さんは「手がかかる子だと、里親とのマッチングが難しい場合があるので大きな専門性のある施設でで見た方がいいこともある」と話す。
里親でもなく児童養護施設でもない、その中間に位置づけられているファミリーホーム。子どもたちは原則0歳から18歳までこの場所にいることができる。
家に帰りたくない 逃げ出した少女
中学3年生の時から3年間、ファミリーホームいぶきで生活していた渡部理恵さん。「父親と母親の家庭内暴力がすごくて。その日は、私の命が危なかった。頭からとかも出血している状態で」と当時の事を話してくれた。
児童相談所に、一時保護された渡部さん。家庭に戻す判断を下されたとき「家に帰りたくない」と児童相談所から逃げ出したことあった。渡部さんが最後に選んだ場所が、ファミリーホームいぶきだった。
「少なくとも、私が過ごしたファミリーホームは、すごく温かい生活で、本当にある意味青春でした。他の人には経験できないことだから」と語った。
財政難...地域や企業が支えに
子どもたちの大切な居場所となっているが、運営面では厳しい財政状況にあるのが実情だ。
国と県から支給される養育費は、子ども一人あたりひと月20万円。そこに職員の人件費や光熱費、食費、教育費などすべてが含まれている。できる限りの節約や食事の工夫をしても、毎月赤字が続いている。
地域の人や企業からの差し入れや支援などが、大きな支えになっている。
子どもが笑顔で暮らせるように
元々は児童相談所の職員として働いていた仁井田さん。どのような事情があっても、子どもたちが笑顔で暮らせるようにしたいとファミリーホームの運営を続けている。
「"私ってかわいそうな子"と、子ども自身が思っていないことがすごく嬉しい。だから、やれます。子どもたちが、強く生きていってくれていることが嬉しいですね」と仁井田さんはいう。
巣立った子どもから感謝の言葉
2024年で設立から10年を迎えたファミリーホームいぶき。この日、支援をしてきた人などが集まりこれまでの歩みを振り返った。
5年前にファミリーホームを巣立ち、現在は東京で生活する渡部さんは、直接仁井田さんへ感謝の思いを伝えた。
「ファミリーホームを卒業したから、もう元気に人生ができるってわけではなくて、独り立ちしても大変なこといっぱいあって、何度も泣きました。でもそれを乗り越える力、乗り越えられなくても何とかしてそこで踏ん張る力を、ファミリーホームいぶきでは育ててもらった」
子どもたちが夢や希望を持って、自立していけるように。仁井田さんとファミリーホームが大切にする思いは変わらない。