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記者プレ

当たり前を観光資源に ディープな奥会津を体験 住民が案内人となって伝統や暮らしを伝える

記者の視点で社会や地域の話題を紹介する「記者プレ」 今回、佐藤弘崇記者が注目したのは奥会津地域で始まった新たな取り組みについて。
奥会津地域では、住民が案内人となり地域に根付いた暮らしの工夫や知恵を「体験」して楽しんでもらおうという取り組みが始まっている。そこにはただの観光体験だけではなく、魅力を感じてもらい移住につなげたいという思いもあった。

移住者が魅了された会津桐

キリの生産量日本一の福島県。なかでも三島町の会津桐は、冬の寒さで成長が遅い分、硬い木質と美しい木目を持ち国内でも最上級品と言われている。
5年前、東京から移住した三島町の志田明恵さんは「会津桐の桐タンスを作る三島町の工場に配属されるという協力隊の募集があり、すごく興味がある、面白そうな分野だと思ったので、三島町に来ることを決めた」と話す。
会津桐に魅了された志田さんは、町内のタンス工場で修行を重ね、現在は木工作家として活動している。

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地域の文化や生活を体験

志田さんが2024年から参加しているのが、奥会津体験博覧会「せど森の宴」。これは、自然豊かな奥会津地域でつながれてきた文化や豪雪地帯ならではの生活の工夫などを「体験」として提供。その体験を通して奥会津地域を知り、魅力に触れてもらうという取り組みだ。

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志田さんが教える、会津桐のミニ箪笥作りも、その体験プログラムの一つだという。志田さんは「せど森の宴のプログラムをきっかけに、奥会津地域や三島町を知っていただいて、会津桐の魅力をより多くの方に知っていただければうれしい」と話した。

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7つの町村で42の体験

ほかにも、金山町では霧幻峡で朝食を食べたり、昭和村では特産の「からむし」でコースターを作ったり、奥会津地域の7町村で42の体験ができる。

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このプログラムは、福島県伊達市から昭和村に移住した鈴木遼さんと、奥会津振興センターなどが手掛けている。
鈴木さんは「普段の当たり前に埋もれているものが多いので、改めて見つめ直すことで個々の地域の伝統や文化が、一つのコンテンツとして可視化できるというか、改めて再認識するような、すごくいいきっかけになっている」と話す。

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体験が移住のきっかけに

2025年2月から「かんじき作り体験」を提供する、三島町間方地区の菅家壽一さんは、この取り組みに期待を寄せている。
菅家さんが懸念しているのが地区の存続で、三島町間方地区に生活する住民は現在50人。(2024年10月1日時点) 高齢化も進むなかで、一人でも多くの人にかんじき作りを通して、間方地区を知ってもらい、移住のきっかけなどにつながればと考えている。
菅家さんは「かんじきという一部のきっかけだが、これを機会にいろんな人に来ていただけるような、最後には移住していただけるなら、こんなうれしいことはない」と話した。

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住民にとっても魅力再発見

案内人の住民も、自分が暮らす地域の魅力を再発見することができるなどのメリットもあるという。奥会津地域だけでなく、他のエリアでも参考になる取り組みとなりそうだ。
「せど森の宴」は、インターネットや電話などで予約を受け付けている。すでに始まっている体験もあるが、かんじき作りのように冬のシーズンから可能な体験項目もあるので、詳しくはホームページで確認を。

奥会津地域の暮らしを発信して、交流人口や移住する人などを増やしていくことが、地方創生にもつながっていきそうだ。

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