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老舗文具店「文化堂」 地震被災からの再出発 再開発が遅れる福島市中心部で賑わいの新たな拠点に

2022年の地震で大きな被害を受けた商業ビルが、6月6日に新たなスタートを切った。
文具や画材の専門店「文化堂」が入る「文化堂ビルは」、福島市の中心部・県庁通り沿いにある。新しいビルのコンセプトは「街の未来に向けてのランドマーク」で、市民の憩いの場や新たな賑わいの拠点となることが期待されている。

<やっとここまで>
オープン前日の6月5日まで文化堂では慌ただしく開店準備が行われていた。
文化堂・中野義久社長は「(準備が)全然終わらない感じです。やっとここまで来たという思いが強くて、ものすごくワクワクしているところでございます」と話す。
まもなく創業100年を迎える文化堂を襲ったのは、2年前の大きな地震だった。

<大規模半壊 営業停止に>
2022年3月17日、福島テレビ・矢崎佑太郎アナウンサー:「福島市の県庁通りにあります地下1階地上5階建てのビルなんですが、歩道の部分は規制線が張られていて立ち入ることができません。上を見ると目視できる範囲で10枚以上のガラスが割れています」
2022年3月、福島県内で最大震度6強を観測した福島県沖地震の発生。
福島市でも震度6弱を記録し、大規模半壊となった文化堂ビルは解体、営業停止を余儀なくされた。災害に負けじと、文化堂はその年の5月から仮の店舗で営業を再開し客足を繋いできた。
元の場所で新たなビルを再建し、2年越しの待ちに待った再開・・・6月6日は早速、馴染みのお客さんたちが駆け付けた。お客さんは「周りがどんどん変わっていくので、時代が新しく進んでいくなあという感じでわくわくします」と話す。

<再オープン 賑わいの拠点に>
JR福島駅周辺の再開発ビルの延期や縮小など不安な話題が続くなか、周りの店にとっても期待が持てる動きだ。周辺の店では「(文化堂が)地震で仮店舗に移転されてた時、人通りが随分変わりました。なので戻ってきたということで、すごくうれしく思います」と歓迎する。
4階建てのビルのなかには、事務用品や画材など約3000点を取り扱う文具店があるほか、料理教室などに使えるイベントスペースやカフェなども併設される。新しいビルは、市民の憩いの場、そして新たな賑わいの拠点となることが期待される。

<魅力的な街へ>
文化堂の中野義久社長は、初日を迎えて「約2年ぶりにこの場所に戻って、再オープンすることができた。不安な部分もたくさんあったが、たくさんのお客様においでいただきホッとしている」と語った。
また、福島駅前再開発がなかなか進まないなかでの再オープンについては「県庁通り周辺には個性的で魅力的な店が多いので、まずは先んじて賑わい創出ができれば」と話す。

来店客や周辺の店に聞くと、このオープンをきっかけとして新しい人の流れができることを期待する声が多くあった。新たな人の流れが福島市全体の経済に良い影響が及ぶことを期待したい。