28人死傷の郡山市ガス爆発事故 再捜査で点検担当者1人を在宅起訴 被害女性の訴え法廷へ《福島県》
4年前、福島県郡山市で起きた爆発事故で新たな動き。再捜査を進めていた検察は11月26日、ガス設備を点検していた担当者1人を在宅起訴した。事故を巡る刑事責任について、今後法廷で審理されることになる。
4年前の2020年7月、郡山市の飲食店で起きたガス爆発事故。1人が死亡、27人がケガをした。
事故当時、爆風で3メートル吹き飛ばされた50代の女性。あごの粉砕骨折や顔の神経断裂など大ケガをした。治療は現在も続いている。「やっぱりここ(右頬)の部分がどうしても顔面麻痺で、ものを食べるのも飲み込むのも、今までとはもうまるで、変化して変わってしまったので」と被害に遭った50代女性は話す。
230棟を越える建物が全壊や半壊となり、広い範囲に被害が及んだ爆発事故。
国の調べなどでは、調理場に設置されていたガス管が腐食、そこからガスが漏れ爆発につながったとみられている。
事故を巡り警察は、飲食店を運営する会社の社長など合わせて5人を書類送検したが、検察は2023年3月、「過失の認定は困難」として不起訴処分とした。
被害者の50代女性は「それは間違ってますよっていう気持ちが強くて、そうではないですよねっていう」と語る。
被害者の50代女性から申し立てを受けた検察審査会は「不起訴不当」を議決。
その中で、腐食したガス管が飲食店で一般的に使用され、注意点などがあったか?再現実験などを行い、点検に問題がなかったか?腐食を発見できた可能性はなかったか?を捜査すべきとした。
死亡した1人を除く4人について再捜査を進めてきた検察は11月26日、ガス設備を点検した担当者1人について、過失が認定できるとして在宅起訴した。また、その他の3人については不起訴処分としている。
被害者の50代女性は「時間はかかりましたけど、再捜査していただく中で、1人でも"起訴"っていう結果が出たことは、それは素直に受け止めている。きちんとやっぱり、原因を追求して、対策を練って、改善策を見つけて、それに伴っていかないと、また、やっぱり同じことが起こることはありうることだっていうのを」と話した。
甚大な被害を生んだ爆発事故。刑事責任について、今後法廷で審理される。
<爆発事故を巡る検察の判断>
再捜査を進めてきたのは、書類送検された4人。それぞれ店舗の運営会社の社長、ガス管を設置した担当者2人、ガス設備の点検をした担当者。
このうち、ガス管を設置した担当者2人と運営会社の社長については「過失を認定することは困難」として不起訴処分に。
ガス設備の点検をした担当者については、「必要な調査を実施せず、ガス管が著しく腐食していることを見落とした上、適切な腐食の防止措置を講じられていないと認識していたのに報告しなかった」などとして検察は過失を認め、在宅起訴した。
被害女性の代理人は「多数の関係者の過失が競合して発生した事故。3名の被疑者の不起訴処分を維持した検察の判断は残念だが、1名の不起訴処分が覆った意義は大きい。裁判で真実が明らかにされることを強く願う」とコメントしている。