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処理水放出の賠償は約520億円にのぼる 禁輸措置影響続く

福島第一原子力発電所で2023年8月に始まった処理水の海洋放出をめぐり、東京電力は2025年1月22日時点で約440件・約520億円の賠償支払いを完了したことを原子力損害賠償紛争審査会で明らかにした。
中国の禁輸措置などによるホタテやナマコの取引中止の損害が多くを占め、1か月で約40件・20億円ほど増加した。

第一原発での処理水の海洋放出をめぐっては、2024年11月4日に通算10回目の放出が完了し、これまでに約7万8300トン、タンク78基分ほどが薄められて海に放出されている。
次回の放出は、設備の点検を挟んで2025年2月から3月に実施される予定。

また、2025年度については、7回に分けて5万4600トン、タンクおよそ55基分を放出する方針を示していて、海洋モニタリングで異常などが確認されていないことなどから放出する処理水に含まれるトリチウムの濃度を2024年度よりも高くする計画。

中国はサンプリング調査などの結果を踏まえ、基準に合致した日本産水産物の輸入を段階的に再開するとしていて、原子力損害賠償紛争審査会で東京電力は「禁輸措置の解除となった場合でも輸出の実態を見ながら賠償を続ける必要があると考えている」とした。