テレビ番組テレポートプラス
『流域治水』 利水ダムで洪水対策
『流域治水』とは、激甚化する災害に対応するため、大きな河川はもちろん小さな支流も含む「流域全体」が一体となり、洪水対策に取り組むというもの。
対策には「遊水地の整備」「堤防の強化」などがあるが、なかでも今回は「利水ダム」について話し合う。
《そもそもダムは大きく2つ》
大雨などによる洪水を防ぐために整備された『治水ダム』と、農業用水などの水を確保するために整備された『利水ダム』
これまで『利水ダム』には、洪水を防ぐための機能は備わっていなかった。
しかし大雨が予想される場合、ダムに貯められていた水を前もって下流に流し受け止められる量を増やしておく【事前放流】などの対策が、普及しつつある。
《この「利水ダム」をさらに活用するために、福島県では一歩進んだ取り組みが進められている》
石川町や玉川村など6市町村に農業用水を供給する『千五沢ダム』
かんがい専用の『利水ダム』だったが、洪水を防ぐための機能も備えた『多目的ダム』への改修を進めている。
福島県各地に甚大な被害をもたらした【令和元年東日本台風】
『千五沢ダム』が立地する石川町でも、河川の氾濫が相次ぎ住宅533棟が浸水するなどの被害が発生した。
しかし改修工事を完了すれば下流に流す水の量を、最大で半分以下に抑えることができるようになるため、被害の軽減につながると期待されている。
一方で、改修工事は農業用水の利用がない10月から3月の間に限られるためどうしても時間がかかってしまう。
総事業費145億円をかけ、2009年から始まった改修工事は2023年度の完了を目指している。
=====『千五沢ダム』のように改修工事を行い、洪水を防ぐための機能を後から追加するケースは珍しいのですか?
東京大学大学院客員教授・防災行動や危機管理の専門家「防災マイスター」の松尾一郎さん:
「珍しいですね。利水ダム・専用ダムをいわゆる改造して多目的ダムにするという取り組みは、あまり多くないんですね。
要はですね、もう既にダムあるわけですから施設を少し改造した上で取り組むという意味では、
やっぱり時間的にも費用的にも非常に効果があるというふうに思います。こういうのが増えてくると思いますね。これから」
《命を守るための呼びかけが5月20日から変わる》
災害の発生状況とその危険度、そして取るべき行動を示す『5段階の警戒レベル』
なかでも【全員避難】を呼び掛ける【警戒レベル4】は、「避難指示」と「避難勧告」の2つの情報があったが、5月20日からは「避難指示」に一本化される。