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実感のない津波注意報...その時、漁師は・気象庁は
2022年1月16日未明。日本の広い範囲に津波警報や注意報が出され、
福島県でもいわき市小名浜で70cm・相馬市で50cmの潮位の変化が確認された。
その原因となったのが、南太平洋のトンガ諸島付近で発生した海底火山の噴火。
今回、日本国内で観測された津波は、地震によるものではなく【空気の振動】によって引き起こされたとみられている。
<対応に苦慮した気象庁>
噴火が起きたのは日本時間の15日午後1時ごろ。
その約6時間後の午後7時すぎ、気象庁は「若干の海面変動が予想されるが、被害の心配ない」と情報を出した。
しかし、その1時間後には各地に第1波が押し寄せた。
深夜には鹿児島県奄美市・小湊で最大1m20cm、いわき市小名浜でも70cmと各地で潮位の変化が観測された。
気象庁は「津波かどうか分からない」としつつ、急遽16日の未明に津波注意報や警報を出した。
<避難しなかったことに後悔する漁師>
相馬市・松川浦でノリ漁を営む佐藤裕巳さん。
当初、気象庁が発表した『被害の心配はない』との情報から、いつも通り就寝したが、事態は急変した。
佐藤さんは、地区に響くサイレンを聞き、初めて津波注意報が発令されたことを知った。
2011年の東日本大震災で大津波に襲われた松川浦。
海中のガレキや原発事故の影響で、全国有数の産地として100年以上の歴史を持つノリ漁は休止に追い込まれた。
収穫と出荷を再開できたのが、7年後の2018年。
2022年も最盛期を迎える春に向けて、準備を進めている中での津波注意報の発令だった。
今回の火山噴火で、相馬に押し寄せた津波は50センチ。
佐藤さんは自分の行動に【後悔】も感じていた。
地震による津波ではなかったことで、家族への連絡を躊躇。
『未知の現象』だっただけに、命を守る行動を最優先にすべきだったと感じている。
<福テレ防災アドバイザー・松尾一郎さんに聞く>
「その報道発表の仕方も含めて、相当に混乱があったと私は理解します。
従来、遠地地震の発表の枠組みっていうのがあったので、それを使って注意喚起したというのは、ある意味それしかしょうがないですね。
よかったんですけど、最初の『被害なし』の発表から『津波警報』に切り替えるたのは土曜日の深夜。
一番手薄な時間帯に『津波警報』に切り替えたということを含めて、
今後同じようなことが起こりうるという前提で、ちゃんと検証して改善策を早く国民に知らせるべきだと思いますね」
◇動画はYouTube 福島ニュース【福テレ】でご覧いただけます。