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変わりゆくランドセル事情 早まる「ラン活」時期
記者の視点で社会や地域の話題を紹介する「記者プレ」
今回、浅野晋平記者が注目したのは「ラン活」年々早まっているというランドセルの購入タイミングについて取材した。
来年の新入学に向けた「ランドセル選び・購入」いわゆる「ラン活」は、5月の連休ごろがピークだという。親から子へ、祖父母から孫へ。子どもへの思いが"ラン活"を熱くしている。
◇動画はYouTube 福島ニュース【福テレ】でご覧いただけます。
早まるラン活
「ラン活」という言葉が出始めたのは2015年ごろ。日本鞄協会ランドセル工業会によると、ランドセルの色や装飾などバリエーションが徐々に増え始め、お気に入りの一点を買い求めたいというのがきっかけの一つだという。
ランドセルの購入時期はもともと新入学前の冬頃だったが、10年前ごろから6月からお盆に最盛期を迎えるようになり、現在では3月ごろからゴールデンウィーク前後がピークに変わってきている。
購入時期が早まった理由として、インターネットで最新の情報が更新されるようになり、店に足を運ばなくてもランドセルが選べるようになったこと。また少子化が進み、親や祖父母が子ども1人あたりにかけられる金額が増え、より良いものを時間を掛けて選ぶようになったことなどが挙げられる。
メーカーにはメリットも
創業40年のランドセルメーカー「榮伸」 福島県泉崎村の工場では、1日約400個、年間で10万個ほどのランドセルを、従業員が一つひとつ手作業で製造している。
橋本達宏工場長は「手作業でやることによって、材料で微妙に違う部分を修正しながら作っているので、一つ一つを温かみのある商品になっている」と話す。
ラン活に合わせ榮伸では、2月にカタログを製作。3月にはインターネットでの受け付けをスタートしている。
「ランドセルが必要になる時期は、翌年の4月。必ずそこに間に合わせるように生産できるので、生産が平準化するので非常に有難い」と橋本工場長が言うように、ラン活はメーカー側にもメリットがある。
一方で毎年苦労するのが「トレンド予測」だ。来年どのようなランドセルが人気となるのか?前年の販売実績や材料メーカー・百貨店のバイヤー・購入客の声などをもとに推測。デザイナーと新たな色を試験的に生産し、先行販売することもあるという。橋本場長は「アパレル関係と近いものがある。洋服の流れも多少影響すると思う」と話す。
また、人気のランドセルに求められるのが「軽さ」と「機能性」
例えば、金属ではなくプラスチック樹脂を使うことで、軽量化も考えながら丈夫さも追及。1年生から6年生の体形変化に対応するよう、幅を広げられる機能も。ニーズにあわせ時代とともに進化するランドセル。「ラン活」がその進化を加速させているようだ。
大きく軽量 色も豊富に
20年ほど前のランドセルと現在のランドセルを比べてみると、教科書の大きさが変わったり、バインダーなど授業で使うものを入れられるよう、ランドセルのサイズや形も変わっている。ただ重さはほとんど変わっておらず、軽量化が進んでいる。
2024年に流行する色について、榮伸の橋本さんは2023年同様に淡い色・パステルカラーが流行すると予想している。パステルカラーは、高学年になった時にも落ち着いた印象を与え、根強い人気だという。
2年後の新入学に向けて購入を検討している人もいるというので「ラン活」のピークはさらに早まるかもしれない。