テレビ番組テレポートプラス
デジタル技術で便利な暮らし 保育園・買い物・職場で導入進むDX 小さな町の取り組み
記者の視点で社会や地域の話題を紹介する「記者プレ」 今回、石山美奈子記者が注目したのは「DX」
これからの社会に変革をもたらすキーワード「DX=デジタルトランスフォーメーション」デジタル技術を使って社会を便利に変えていこうという考え方だ。積極的にデジタル化の導入を進める福島県磐梯町の取り組みを取材した。
◇動画はYouTube 福島ニュース【福テレ】でご覧いただけます。
子どもの様子を共有
磐梯町で3人の子どもを育てる坪井友美子さん。保育所に子どもを預け、スマホで入力しているのは子どもの朝と夜の機嫌、トイレの回数・食事・体温など。
磐梯町の保育所では2020年からコミュニケーションアプリ「コドモン」を導入し、園児の体調など日々の状況を保護者と共有している。
「コドモン」では写真で子どもの様子を報告できるほか、磐梯町では中学校まで導入をしていることから、進学後も食事のアレルギー情報などが引き継がれるというメリットもある。
磐梯町保育所の園部真由美副所長は「紙だと関わっている先生しか見れないってことがあったが、職員全員で情報を共有できることが良くなったと思う」と話す。
ポイントでお得な地域通貨
子どもを預け買い物へ向かった坪井さん。まず向かったのは、福島県内初の地域デジタル通貨「ばんだいコイン」のチャージ機。「ばんだいコイン」は流通開始からまもなく1年。利用者は1600人を超え、2023年度中には流通額が1億円に達する見通しだという。その魅力は、チャージ分の10%がポイントとして付与されること。そのほかにも、定期健康診断を受けると100ポイントなど、町民にとってもお得な通貨だ。
坪井さんは「チャージしただけでポイントが付くから、チャージした日のポイントで多く買える。子どもにお菓子一個多く買っていいよって言える」と話す。
DXで元気な街に
人口3300人ほどの磐梯町。デジタル化を進める背景に強い思いがある。磐梯町デジタル変革戦略室の小野広暁室長は「磐梯町を元気にしていきたい。物理的に人口を増やすには非常に難しい課題があるが、デジタルを使うことによって町と関わる準町民的な方が増えて町が元気になっていく」と話す。町民に安心を届け、そして町のファン「準町民」の獲得へ。デジタルの力に期待を寄せている。
福島県もDXを推進
こうしたデジタル技術で社会を便利にする取り組みが「デジタルトランスフォーメーション」でペーパーレス化やテレワークなど幅広い取り組みも含まれる。福島県も、2021年9月にDX推進の基本方針を定め「デジタル県庁の実現」を目標に掲げている。「いままでハンコを押していたものをシステム決裁できるようにする」「施設の利用料をスマホ決済できるようにする」など100を超える業務でDXの取り組みを進めている。
DXで労働時間短縮
福島県内の企業や団体もこの「DX」が進んでいる。福島市のJAふくしま未来。手書きで書かれた注文書の処理に活躍しているのはロボット。手書きの文字を画像データから自動で読み込む。この技術がRPA=ロボティック・プロセス・オートメーションと言われるもので、デスクワークで発生する決まった作業をパソコンの中にあるロボットが代行する。「注文書のデータを社内で使うシステムに入力して」という命令をロボットに出し、ロボットが忠実にその作業を遂行する。
一年で1万枚にも上る注文書の入力作業に年間で660時間を費やしていたが、RPAの導入で90%の削減を達成した。労働時間の短縮、業務の効率化につながっている。JAふくしま未来企画部の齋藤正記部長は「職員数の減少、時間外の増加等も問題になっていた。できるだけ、機械で事足りる業務であれば機械で業務処理を行い、人は人で行う業務は別にあると考えている」と話す。
農産物が私たちの手元に届く裏には、人だけではなくロボットも大活躍していた。
デジタル技術はどうしても専門的な言葉が使われるが、一つ一つは生活や仕事を便利にする手段や道具。上手に活用することで、地域や日本が抱える様々な課題を解決するカギとなる。