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二刀流の警察官が地域の安全を守る 福島への思いを胸に 故郷を離れ第二の人生をスタート
福テレアナウンサーが「これだ!」と思った話題を伝える「アナこれ!」
今回は矢崎さんが「二刀流」...メジャーリーガー・大谷翔平選手の代名詞となっているが、もともとは江戸時代の剣豪・宮本武蔵が生み出した剣術。
福島県の須賀川警察署にいる「二刀流」の使い手を取材した。
◇動画はYouTube 福島ニュース【福テレ】でご覧いただけます。
県警唯一の使い手
須賀川市・鏡石町、天栄村を管轄する須賀川警察署。
剣道場では剣道の稽古が行われていた。よく見ると1人だけ構えが違う...竹刀を2本持つ二刀流。碇子晃弘巡査部長は長短2本の竹刀を扱う、福島県警で唯一の二刀流の使い手。
二刀流は防御力が高いのが最大の強味だが、片手で竹刀を扱うため腕力や相手との距離感など高い技術が必要となる。
約一年で高度な技術を習得
剣道歴は約1年4カ月だが、その実力は折り紙付き。同僚は「剣道界でも二刀流というのは、やっている方が少ない。私も初めて二刀流の方と稽古した」「1年ちょっとの碇子部長が、ここまで形がきれいに正当な二刀流で出来るのはすごいと思う」と話す。
逮捕術でも高評価
碇子さんが評価されるのは「剣道」だけではない。犯人の動きを封じ取り押さえるための「逮捕術」に優れ、須賀川警察署を代表し特別な訓練を受ける警察官にも指定されている。
福島のためにできること
大阪府出身の碇子さんは、3月まで大阪府警の警察官だった。2014年から2018年の間に、原発事故の影響を受けた楢葉町や双葉町に派遣され、警戒やパトロールに当たった。「ニュースでは復興が始まっているという話を聞いていたが、実際の現場はまだ瓦礫が撤去されていない状態で多くの建物も倒壊した状態だった」と言う。
派遣を終えて大阪に戻っても、心残りがあった。「復興のために応援にきていたが、それが終わったあとも何度も福島県のことをニュースで見るたびに、福島県でもっとできることはなかったのかとずっと強く思っていた」と碇子さんは話す。
妻の地元でもある福島への思いを強めた碇子さん。大阪府警を退職し4月に福島県警に採用され、福島で第二の人生をスタートさせた。
碇子さんは「大阪府警で10年間培った力を少しでも発揮して、福島県のために頑張っていきたいと思っている」と語った。
方言に苦戦...
配属されたのは地域課の「自動車警ら係」 日々パトカーに乗り、職務質問などで「犯罪の芽」を見つけ出す。地域住民との触れ合いも多く、コミュニケーション力も大切だが...「特に方言が、まだ慣れないところがある。難しいというか全く聞き取れない方言があるので、一から勉強していかないと」と碇子さんは言う。慣れないことも多いなか、碇子流の接し方で地域住民との距離を縮めている。
県民の安心のために
殺人や強盗など全国で凶悪事件が相次ぐなか、碇子さんは「警察官が近くで見守っているというのが、皆さんの安心に繋がると思うので、頑張っていきたい」と、福島の治安を守りぬくことを誓う。
覚悟をもって福島に
碇子さんは大阪府警を退職して福島県警に採用という形だったが、被災した福島を救うため、全国の警察から福島に出向している警察官たちがいる。
「ウルトラ警察隊」と呼ばれ、2012年からこれまでに約1870人がやってきたが、このうち55人は福島県警に永久出向の道を選んだという。
福島のために力を尽くす気持ちに出身地は関係ない、そんな思いが垣間見られる。