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パラ砲丸投げ・斎藤由希子選手 1センチでも遠くへ 自慢のパワフルさでパリを目指す
福テレアナウンサーが「これだ!」と思った話題を伝える「アナこれ!」
今回は日野さんが、2024年パリパラリンピックでメダルが期待される、福島市在住の陸上・齋藤由希子選手(SMBC日興証券)
投てき競技のスペシャリストである齋藤選手の「パリへの道」これまでと、これからを取材した。
人生の転機
静寂に包まれる平日の競技場に一番乗り。福島県福島市の「誠電社WINDYスタジアム(信夫ヶ丘競技場)」が彼女のホームだ。
「私は左腕の肘から先が生まれつきない障がいをもっているんですけども、投てき競技は右手で持って右手だけで投げられる。それが私は砲丸投げの魅力だと思っている」
その魅力に出会ったのは中学生の時、担任の先生からの誘いだった。学生時代は健常者と同じ大会にも出場し、力をつけていった齋藤選手。大学4年生の時には、パラ陸上アジア大会で世界新記録を樹立。
砲丸投げで世界のトップに立ったが、障がいの程度などによりクラスが分かれるパラ陸上。東京パラリンピックでは齋藤選手のクラスの砲丸投げは実施されず、やり投げ一本にしぼり出場を狙った。しかし、ケガの影響もあり派遣記録に届かなかった。
「東京大会に出られませんとなったときに、自分自身やりきったかな、もう終わりかなとなった時に、いや でもそこまで燃え尽きてない」
砲丸投げ復活
前を向いた齋藤選手に吉報が届く。齋藤選手のクラスの砲丸投げが、2024年のパリパラリンピックで復活することになった。
「私自身パラリンピックにまだ出場したことがないので、まずは出場を目指すのが本当は正しいと思うんですけども、専門とする砲丸投げでの開催なので、最初からメダルを狙っていこうと強い気持ちで、そこは挑んでいきたいなと思います」
新たな家族
そんな齋藤選手の武器は...パワフルさ。本人も「声もそうですけど、動きも比較的大きいですし、どちらかというと男性よりのパワフルな投げをできているのかな」と自負する。
しかし、その自慢のパワーも一時期は...
2022年3月に長女・千遥ちゃんを出産。その分、練習できない日々が続き筋肉が減り、体重は約15キロ減少。2024年に迫ったパリへ向けて、落ちた筋力や感覚を取り戻す日々が続いている。
「上半身の筋肉は比較的戻りがよくて、スピード感であったりそういうところが戻ってきたんですけど、下半身の筋肉を戻しても動き自体がまだいい動きを出来ていなくて、その下半身の強化がいまの課題」
齋藤選手の変化
齋藤選手をサポートする、日本パラ陸上の強化委員長宍戸英樹さん。復帰後から見守る中で、齋藤選手の変化を感じていた。「去年から今年の頭にかけてのあの状況から見ると、もう別人のよう。全然砲丸に負けないようになってきた。競技面でいうと彼女の場合は"自己修正能力"が非常に高い」と話す。
その修正能力を証明したのが2023年4月に行われた「日本パラ陸上競技選手権」
1回目で「10m37」を記録。2回目以降、投げるたびに距離を伸ばし最終的には2023年世界2位の「11m52」を記録した。
トレーニングもままならない状態から、着実に昔の力強さが戻ってきた齋藤選手。次は2023年7月の世界選手権に、今持てるすべての力をぶつける。
「世界選手権では4番以内に入ることでパラリンピックの内定をとることができる。4番以内をとる。その数字にこだわっていきたいと思います」