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殺処分ゼロを目指して 原発事故で取り残されたペットを見て保護活動 リスタ代表・鈴木理絵さん
福テレアナウンサーが「これだ!」と思った話題を伝える「アナこれ!」
今回は古賀さん。福島県内で殺処分されたイヌとネコの数は、令和3年度には合わせて1080頭。全国で2番目に多くなっている。動物が幸せに暮らせる社会へ、保護に取り組む女性を取材した。
◇動画はYouTube 福島ニュース【福テレ】でご覧いただけます。
仮設住宅・高齢化 社会的背景も
福島県いわき市にある「オハナ」では、思い思いに過ごすネコと、のんびり触れ合える。穏やかに過ごすネコは、ここに来るまで行き場を失っていた「保護猫」だという。このサロンを運営する鈴木理絵さんは「好きだな・かわいいなっていうよりも、助けなくちゃいけないと思った」と話す。
鈴木さんが代表を務める動物愛護団体「LYSTA(リスタ)」のシェルターでは、合わせて100匹ほどのイヌとネコを保護している。
遊びに夢中のカールは、6年前いわき市内の仮設住宅に置き去りにされていた。鈴木さんは「仮設住宅はネコの置き去りとか、仮設住宅の外で増えちゃった繁殖とか。震災から5~6年経ったぐらいの頃は、そういう話をよく聞いた」と語る。
増えたネコを適正に飼育できず、いわゆる「多頭飼育崩壊」で保護したネコもシェルターにはいる。ポン太は高齢の飼い主が亡くなり、家の中で20匹ほどのネコと生活していた。「家の中も、ものすごく多くて。ゴミ家敷っていうんですかね。この子は一番光が入らない納屋の中にいた」と保護をしたときの様子を鈴木さんは教えてくれた。ここにいるネコは、保護されなければ殺処分されていたかもしれない。
避難で取り残された動物を目の当たりに
鈴木さんが保護活動を始めるきっかけとなったのが、東日本大震災。
原発事故によって避難を余儀なくされた区域で、飼い主と離れた多くのペットを目の当たりにした。「何とか警戒区域の中から出してあげたくて。それでリスタ(動物愛護団体)を作ることにした。すぐそこに、お腹をすかせた子たちが残されていると思うと、今やらなきゃ後悔すると思って始めた」と鈴木さんは話す。
寄せられた支援金や物資で運営される保護シェルター。鈴木さんを含めボランティアのスタッフが体調をチェックしながら、毎日交代で世話をしている。
サロンは里親との出会いの場
保護猫の存在を多くの人に知ってもらいたいという思いから、2017年にオープンした「オハナ」は、保護猫と里親の出会いの場でもある。里親を希望する人には、面談を経て譲渡する。
鈴木さんは「保護猫とか保護犬とかっていうと、かわいそう・汚いというイメージの人が少なくないと思うが、こういう風に助けられた犬猫は全然かわいそうじゃない。保護猫活動に興味を持ってもらう、きっかけになればと思う」と話す。
鈴木さんが目指すのは、いわき市で殺処分を余儀なくされるネコがいなくなること。そして、その環境を継続していきたいと考えている。
「ゴールはリスタを解散するとき。私たちの活動が必要なくなれば、そこがゴールになるのかな」