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不漁続きでもサンマの未来は明るい?水揚げ90%減の危機に挑む水族館 繁殖・研究で活路

記者の視点で社会や地域の話題を紹介する「記者プレ」 今回、安齋遥介記者が注目したのは近年不漁が続く「サンマ」について。
秋の味覚「サンマ」。福島県いわき市とサンマは深い関わりがあり、小名浜港は日本有数の水揚げ量を誇る港だ。そんな港町らしく郷土料理には「サンマのポーポー焼き」がある。さらに、漁師の晴れ着をまといサンマの大漁を祝う「万祝(まいわい)」という風習もあったそう。
ただ「大衆魚」と呼ばれるサンマも、最近は不漁が続き値段も高く、市民の食卓からも遠ざかりつつある。いわき市の水族館では、サンマのミライを明るくする研究が進められていた。

不漁が続くサンマ漁

2024年8月7日、福島県いわき市小名浜港から大型のサンマ船6隻が出港した。2024年は例年よりも10日ほど早く漁が解禁された。期待するのは「大漁」の二文字だが、ここ数年サンマは不漁が続いている。
いわき市によると、2023年のサンマの水揚げ量は約287トン。震災前と比べると、9割以上減少している。
農林水産省は、親潮が弱くなり北海道の東側や三陸沖の水温が上昇したことで、サンマが回遊するルートが沖合に離れたことなどを要因に挙げている。

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サンマを展示する水族館

福島県いわき市の水族館「アクアマリンふくしま」では、開館した2000年からサンマの展示を続けている。
「すごく神経質で、ちょっとした刺激でパニックになってしまう魚。ですから、あまり刺激を受けないような環境で飼っています」と話すのは、アクアマリンふくしまの山内信弥さん。サンマの展示や研究に携わる、福島が誇るサンマのスペシャリストだ。

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展示だけではなく繁殖も

アクアマリンふくしまでは、水族館として世界で初めて卵からのふ化に成功。水槽内で産んだ卵を回収し、バックヤードでふ化させ、展示するサイクルを確立した。
山内さんは「約10センチから15センチの大きさに成長したら、展示の方に移す。それぐらいになるまで、約3カ月かかる」と説明する。

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知られざる生態を明らかに

これまで詳しい生態や、養殖の技術が確立されていなかったサンマだが、2024年3月にはサンマのDNAの遺伝情報ついて他の研究機関と共同で論文を発表し、少しずつその生態を明らかにしようとしている。
山内さんは「サンマが自然界でどのような行動をとっているかの参考材料になると思っている。なぜ不漁が起こっているのか、豊漁になるのか、そういった理由も水槽の中という人工の環境下だが、基礎的な生物情報を得ることによって役立てるヒントになるのではないかと思っている」と語る。

福島県での研究が、サンマのミライを照らす大きな役割を担おうとしている。

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