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観光列車SATONO記念運行 秘境路線・JR只見線が全線再開通から2年 好調維持のヒミツとこれから
記者の視点で社会や地域の話題を紹介する「記者プレ」 今回、佐藤弘崇記者が注目したのはJR只見線。
全線再開通から2年を記念して観光列車「SATONO」が運行。歴史と文化、食を楽しむ2024年春にデビューした観光列車で、車両は緑と青東北の豊かな自然をイメージしている。列車は満席となり、沿線からは地元の住民が手を振り、歓迎した。
絶景鉄道の旅へ
奥会津の絶景を眺める「鉄道の旅」。沿線に集まった地元の人は「2周年記念をずっと待っていたので、天気も良かったし最高」と話し、観光客からは「列車での旅はゆったりしていて、のんびり過ごせた」「地元の方々の只見線にかける思いというのが、とても熱く伝わってきた。沿線でも色んな方に手を振っていただいてこっちも応援したいなという気持ちになった」との声が聞かれた。
また、只見駅で「SATONO」を下車した観光客は、バスで移動し福島県金山町の炭酸場を訪れていた。乗客は、只見線の魅力に触れる一日となったようだ。
再開通から2年 只見線の状況
以前のような熱狂的な盛り上がりは落ち着いているが、着実にファンを増やしているように感じる。
平日の朝、福島県金山町の川口駅で利用客に話を聞くと「毎日朝と帰りで利用している。朝と昼の列車で観光の方が多いなと感じている。2年経っても衰えずにずっとやれているので、魅力発信がうまくできているのかなと思う」という。
JRによると、2023年度の会津川口駅から只見駅までの乗客数は、一日平均で103人。これは、沿線自治体などで協議会が設定した目標を達成している。
また福島県によると、会津川口駅から只見駅までの沿線には2023年9月までの1年間で27万人を超える観光客が訪れていて、再開通前と比べ2割程増えているという。
こうしたデータからも、只見線の再開通は奥会津の観光を盛り上げる大きな存在になっているといえる。
只見線 今後のビジョン
一方で、只見線の一部区間は「上下分離方式」をとっていて、福島県と沿線自治体が維持管理費を負担している。この負担を軽減していくためにも、さらに利用促進や奥会津への誘客が求められる。
今回運行した「SATONO」とは別に、只見線では観光列車の導入の検討が進められている。また、沿線自治体も含む奥会津の7つ町と村では、それぞれの地域の魅力を観光客に伝える体験型ツーリズムも始まっている。
コロナ禍が去り、国内のインバウンドも回復しつつある中で、今後も自治体と住民などが連携して只見線を存続、PRしていく取り組みが期待される。