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200人超の遺影作成で感じた家族写真の大切さ 被災地写真館の使命 1枚に希望と未来への願いを込めて

震災と津波、そして度重なる災害を乗り越えてきた福島県相馬市の写真館。4代目・西村昌也さんが、家族写真の大切さと災害の記憶を後世に伝える使命を胸に、カメラを通して人々に希望を届ける姿を追った。

家族写真を大切にする写真館

福島県相馬市にある創業100年を超える写真舘の4代目・西村昌也さん。「面白い・驚き・思いやりが、うちのモットー。行動の理念」と話す。
この日オープンした新しいスタジオは、「家族写真を大切にする」という西村さんの思いが詰まった場所だ。
「人は一人では生きていない。おじいちゃんおばあちゃんがいて、お父さんお母さんがいてそして今の自分がいる。家族写真には非常に想いを強く込めている」と語る。

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被災地写真館の使命 遺影作成

東日本大震災で津波にのまれた相馬市の沿岸部。西村さんは一時東京に避難するも、発災から一週間後には再び相馬市に戻ってきた。
「東日本大震災で犠牲になった方の遺影写真作り。地域の方から早く戻ってきて。西村君なんとか写真作ってくれないか。と言う声が当時の社長・父のもとに集まりまして...」と戻った理由を話す。
作成した遺影は200人以上。当時社長だった先代の父・年晴さんと日々犠牲となった人たちと向き合ってきた。
「家族写真がないと亡くなった人の弔いとか、そして生きている方の心の整理が出来ないと実際にお客様に言われた。そういった責任感が我々にはあると思った。地域の記録を残す担い手として、この13年間は様々な思いを残す役割なのだと肝に銘じて営んできた」と語る。

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息子をモデルにした一枚「災害の記憶」

震災をきっかけに、ボランティアとして台湾や新潟、山形など地震や大雨の被災地で活動を続けてきた西村さん。2年前、「災害の記憶」という名の一枚の写真を撮った。モデルは息子の晃佑くんだ。
東日本大震災の後も、相馬市は度重なる災害に見舞われた。晃佑くんが小学校に入学する直前に起きた福島県沖地震。いつしか晃佑くんは、災害におびえるようになっていた。
西村さんは「ちょっとした地震・雨量の多い時は、子どもはおびえる。それはどこにあるかというと"記憶"に刻まれていると、その時思った。そこに関わる大人たちが、子どもたちにどうできるのかなと。大人たちがいれば大丈夫だよとか、危ないからこう逃げるのだよとか。そういうのを伝えていくのは我々大人たちの役目」と話す。
子どもに刻まれた災害の記憶を、怖がりながらも、正しく向き合うため、命を守るために大切なことを忘れてもらいたくないと作品に思いを込めた。

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写真に込める思い

西村さんは「写真には人を勇気づけたり、励ましたりというパワーが私はあると感じている。その写真を一つ手に取ることによって、気持ちが沈んでいたのがあがったりとか、今ある自分の立ち位置に戻ろう思ったりできる強い力を感じる。大人たちが一番に楽しんで、子どもたちが笑顔になる。大人たちを見ることによって希望が湧くと信じてやまないので、そこが大人たちの誇るべき姿と言うか、目指すべき場所だなと考えている」と語った。

地域と次の世代に何を残していけるか...未来への願いを込めてシャッターを押し続ける。

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