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津波で流出した海岸防災林 一本だけ残った復興のシンボル 次の世代へ 植樹し成長を見守る男性

津波から命を守る自然の堤・海岸防災林。福島県によると、これまでにクロマツなど29万本が植えられ、その植樹活動には地域住民など2万8000人が参加した。福島県内で整備が進む9ヵ所の海岸防災林のうち浪江町が最後で、この整備が終われば沿岸約40キロの防災林が完成する。木はまだ腰くらいの高さだが、地域の未来を守るために一歩ずつ、その「再生」が進んでいる。

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福島県の海岸防災林まもなく完成へ

「震災当時は、もともとここには海岸防災林がなくて、新たに整備した地区になります」と福島県相双農林事務所の石井康洋さんは話す。
14年前の津波で、死者と行方不明者が154人に上った福島県浪江町請戸地区。沿岸部から内陸へ200メートルにわたり植えられたのが、海岸防災林のクロマツだ。現在ほとんどの工事が終わっていて、目標とする2025年度の整備完了まであと少し。これにより、総延長約40キロに及ぶ県内の海岸防災林は"完成"を迎える。
3年前、この場所に地域住民などが植樹したクロマツはまだ1メートル程だが...。
福島県相双農林事務所の石井さんは「海岸防災林は、"植えて終わり"ではなくて、これから"大きく育てる"ということが重要となってきます」と話す。

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津波で6割が流出した福島県の海岸防災林

2011年の津波により県内の海岸防災林は約6割が流出した。
2018年6月に福島県南相馬市で行われた全国植樹祭。
上皇ご夫妻がクロマツの苗木などをお手植えになり、命を守る森づくりが世代を超えて広がるきっかけになった。上皇さまの思いは、御製碑に刻まれている。
「生い立ちて防災林に育てよとくろまつを植う福島の地に」

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一本だけ残った復興のシンボル

南相馬市鹿島区で植樹に取り組む五賀和雄さん。かしまの一本松を守る会・会長の五賀さんは「あの近辺(鹿島区南右田の)には70戸の住宅があったわけね。それが全部流されちゃった。そして54人も犠牲になったんですね。ここの一本松だけは一本だけ残って、そして生きて残ったっていうか」と話す。

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奇跡の松を海岸防災林として植樹

復興のシンボル「かしまの一本松」。
鹿島地区は高さ15メートルの津波に襲われ、7万本の松林が流されるなか、一本だけ残った奇跡の松だ。根が枯れていたこともあり2017年に伐採されたが、五賀さんが会長を務める保存会は一本松から種を採取。苗木を育てて、海岸防災林として5年前に植樹した。
五賀さんは「やっぱり守っていきたいっていうか、『ここに来れば元気をいただくんだ』っていうか、『力強さをいただくんだ』っていう。そういう姿にしていきたいなって思います。津波は、自然災害でも大変恐ろしいもんだなって思いますし、もうそれにあわないように、これからもね、後継というか、次の世代の方々にも認識していただきたいなと思います」と話す。

あの日の記憶を次の世代にも伝えながら、海岸防災林はゆっくりと背丈を伸ばしている。

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