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みんなが集える居場所を作りたい 2人の店主が描く地域の復興 双葉町と飯舘村に新店舗

今も一部の地域で避難指示が続く、福島県の双葉町と飯舘村。この2つの地域で、2025年春に店をオープンさせた2人の男性がいる。彼らが目指すのは、地域の希望となる「居場所」づくりだ。
双葉町 open roastery Alu.
2025年2月、双葉町にコーヒースタンド「オープン ロースタリー アル」をオープンさせた、秋田県出身の深澤諒さん。コーヒー豆の卸売をメインに、店で挽いたコーヒーもテイクアウトで販売している。
オープンから1カ月、さっそく噂を聞きつけた人たちが来店していた。福島県葛尾村から訪れた人は「双葉駅前でお店をやっているということで。最近、双葉町に来ていなかったので、それも見ながら来てみようかなと。とてもおいしいので、また来たいと思います」と話した。
"おいしい"の一歩先を双葉から表現
福島県との関わりは、三島町での地域おこし協力隊。コーヒー焙煎の魅力に引き込まれたのもその頃だった。3年前に浜通りへ移住、焙煎所の開業を決心し、復興へ向かう双葉町にたどり着いた。
深澤さんは「地域おこしではなく、地域づくりから関われるっていうのがこの地域。この駅前の一等地で、この町がどう変わっていくのか見て伝えることも一つの地域づくりになるのかなと思って」と語る。
「双葉町を訪れるきっかけとなる場所にしたい」というのが、深澤さんの思いだ。
「おいしいコーヒーを届けるのは最低限かなと思っていて、"おいしい"の一歩先をどう双葉から表現できるか提供できるかというところは意識しています」と話した。
飯舘村 菓子工房cocitto
こんがりと焼き色がついたマドレーヌが並ぶのは、2025年4月1日に飯舘村にオープンした「菓子工房コチット」。「ナツハゼ」や「雪っ娘かぼちゃ」など、飯舘村の特産品を使った焼き菓子がウリで、手がけるのは福島県川俣町出身の高橋洋介さんだ。
高橋さんのこだわりが詰まったお菓子を求め、福島県南相馬市から訪れる客もいる。3度目だというこの客は「お菓子が好きな人が作った、本当にその人の人柄が見えるような優しい味」と話す。
お菓子で人が集まる場所を
3年前に飯舘村の道の駅で仕事を始めた高橋さん。そこで感じたのは、飯舘村の現状と復興への課題だった。「飯舘に菓子店やお土産を買える場所があまりなかった。もちろん道の駅である程度のものは揃いますけども、自分たちの村の特産品で誇れるレベルのものが、まだまだ足りなかったと思っているので」と高橋さんはいう。
高橋さんが目指すのは、お菓子作りを通じて人が集まる場所をつくることだ。「菓子店は人が呼べる業態だと思っているので、飯舘のここに来ればおいしいお菓子が食べられる。それが飯舘の新しいシンボルになってくれればなと思っております」と語った。
アプローチや手法は違っていても、避難を余儀なくされた地域にみんなが戻ってくる「居場所」をつくりたい。二人の思いは未来へとつながっている。