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大雪の影響が春になっても 鉄道や国道が一部不通に 観光シーズンを迎え早期復旧を望む声
記者の視点で社会や地域の話題を紹介する「記者プレ」。氏家彦斗記者が注目したのは、春になっても残る大雪の影響について。
福島県で2025年2月に降った雪は、会津若松市で観測史上の最高の121センチの積雪、そして金山町では2メートル35センチ、只見町では3メートル25センチとなり、62年ぶりに災害救助法が適用されるなど記録的な大雪となった。この大雪が春になっても鉄路を閉ざし、雪崩の危険性を残している。春の観光シーズンを迎えながらも、奥会津地方ではいまだ大雪の影響が影を落としている。
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雪に閉ざされたJR只見線
JR只見線にある蒲生トンネル付近。現在、山の斜面から崩れた雪で通れなくなっている。
2025年2月の大雪の影響で、会津川口駅から新潟県の大白川駅の区間で運転を見合わせているJR只見線。
JR東日本によると、4月17日から只見駅と大白川駅の区間で運転を再開する見通しだが、会津川口駅から只見駅の区間では再開の目途が立っていない。
雪崩の危険も 進まぬ除雪作業
その理由が「雪崩」の危険性だ。2025年2月には区間内の2カ所で雪崩が発生し、気温の上昇とともに発生リスクも高まり、除雪作業の足かせとなっている。
只見線管理事務所・羽生宏史所長は「施工の安全性。まずはそこを見極めながら作業を進めているというところで、時間を要している。確認作業を進めながら一日でも早く運転再開できるように努めてまいりたい」と話す。
満室になる時期に...旅館にも影響
JR只見駅の近くにある旅館「只見荘」には、春は残雪の中を走る只見線と、旬の山菜などをふんだんに使った食事を求め多くの宿泊客が訪れる。
しかし、例年であれば満室になる今の時期も、大雪による只見線の運転見合わせが痛手となっている。
女将の目黒ゆかりさんは「会津川口からこちらは道路が繋がっていますので、なんとか別の方法で只見まで来ていただく。お客さんを運んでいただける手立てを、考えてほしいと思います。強く要望します」と話した。
ダブルパンチ 国道でも被害
そして、JR只見線とは別の被害も判明した。4月になってもまだ雪が多く残り、冬季通行止めが続いている只見町と新潟県を結ぶ国道252号線。例年だと4月下旬には全線開通するが、出逢橋の流出が判明しそれができない状況だという。周辺の状況などから、橋は雪崩によって流されたと見られている。
出逢橋の流出を受け、4月14日には国や福島県などが参加する対策会議が開かれた。国道252号線では、2022年に出逢橋の近くにある別の橋が雪崩で流出する被害があり、現在も新たな橋の建設工事が進められている最中だった。
今後は除雪作業を進め、5月中には流出した出逢橋の約3.5キロ手前にある田子倉無料休憩所までの冬期通行止めを解除予定だが、全線開通の見通しは立っていない。
観光シーズへ 早期復旧求める
春の観光シーズンに影を落とす、JR只見線の運転見合わせと国道252号線の橋の流出...只見町の渡部勇夫町長は「少し蚊帳の外に置かれているなという感じは持っておりました。ですが、自然環境なのでやむを得ないと思いつつも、今回道路によりまして不通期間が伸びてしまうということはプレDCまた来年の本番を迎えて、非常に大きな打撃だなと思っている」と話し、早期の復旧を求めている。
大型の観光キャンペーンも始まるが...
国道252号線の出逢橋に関しては、新たな橋を建設するか旧道にう回路を設けるかなど対応策が検討されているが、橋の流出による今後の影響が心配される。
生活面はもちろん、冬の間は通行止めとなる区間だが開通期間は奥会津の自然を楽しむツーリング客も多く、観光面への影響が懸念される。
2026年からは大型観光キャンペーン「ふくしまデスティネーションキャンペーン」、そして2025年4月からは「プレDC」も始まっている。
JR東日本によると、只見線の運転見合わせ区間について「今の時点で代替バスの運行は検討していない」としている。
奥会津地方全体の観光を盛り上げていくためにも、この状況を一日でも早く改善する方策が求められる。