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警報級の大雨に備える 去年、線状降水帯の被害を受けた福島・いわき市 教訓を活かした防災すすむ

台風10号から流れてくる湿った空気が作る雨雲。これが徐々に北上し、30日未明からは福島県にも警報級の大雨を降らせるおそれがある。気象台が低い土地の浸水や土砂災害などに注意・警戒を呼びかけていて、過去の被害の教訓から対策も進められている。

<河川の増水に備える土のう>
8月29日午前、福島県いわき市の内郷宮町地区に運び込まれた土のう。近くを流れる河川が、大雨で増水した場合に備えるため準備された。
区長の国井信一さんは「橋はかさ上げしてないないから、土のうを両サイドに置いておいて、水が越水しないように土のうを積みましょうと」と話す。
いわき市では2023年9月に線状降水帯が発生し、床上・床下浸水が約1800棟に上った。被害が拡大した要因の一つが、橋に流木などが引っかかり川の流れが堰き止められ、周囲より堤防が低い場所から水が溢れてしまったこと。

その教訓から、内郷宮町地区では河川が増水した場合は土のうを積み、対策を取ることに。区長の国井さんは「ちょっとは安心、やっぱり。とりあえずは、最低限の準備だけはしておかないと」と話した。

<教訓から排水路整備を前倒し>
さらに、この地区ではハード面の整備も。住宅地などに水が溢れる「内水氾濫」を防ぐために、新たな排水路を当初の計画から3年前倒しして、2024年8月に完成させた。
いわき市土木部河川課の巖城彩香さんは「そこの交差点から道路下を抜けてくるトンネル型の排水路を新たに整備することで、浸水被害の緩和が期待できる」と説明する。

被害を繰り返さないために、災害の教訓を踏まえた"備え"が進んでいる。