ニュース

強盗殺人罪の法定刑は...死刑か無期懲役 裁判員に迫られる選択 争点は、強盗の意思 いわき市強盗殺人事件

福島県いわき市で起きた、強盗殺人事件の裁判員裁判。被告の男は、被害者の殺害については認めた一方「物は盗んでいない」などと、起訴内容を一部否認した。

<ハンマーで叩いたことは認める>
事件が起きたのは、2023年2月。福島県いわき市勿来町の住宅で、当時85歳の小松ヤス子さんが殺害され、遺体で見つかった。
この事件で起訴されたのが、木村進被告。金品を奪おうと、小松さんの頭をネイルハンマーで殴り殺害したとされている。
10月29日に開かれた初公判で「ハンマーで叩いたことは認めるが、物を盗んだり荒したりはしていない」と木村被告は起訴内容を一部否認した。

<争点は...金品を奪う意思>
裁判の争点は木村被告が「金品を奪おうと考えたかどうか」
冒頭陳述で、検察側は生活に困窮していた木村被告が、過去に小松さんが所有する家に住み、小松さんの家賃収入を知っていたと主張。
また、事前に凶器を準備し、小松さんの頭を複数回ハンマーで殴るなど犯行の計画性・悪質性を指摘した。
証拠調べで、検察側は事件現場となった住宅の中には複数の靴の跡があったこと。
またリビングには香典袋や祝儀袋が散乱し、テーブルの上には開いたままの財布が置かれていたことなど、物色された形跡があることを現場の写真などをもとに示した。

一方、弁護側は木村被告に「金品を奪う意思はなく、殺人罪に留まる」と主張。
さらに「木村被告が借りていた3000円を返そうと、小松さんを訪ねたところ、すでに何者かに襲われていて、生存確認をしたがパニックになり殺害した。犯人が潜んでいるかと思い家の中を徘徊した」などと主張した。

<裁判員には究極の選択>
木村被告が問われている罪は「強盗殺人罪」で、法定刑は「死刑」または「無期懲役」となる。
今回の裁判の争点は「金品を奪おうと考えていたかどうか」。これによって量刑が変わる事件を裁判員が審理している。
裁判所には証拠の示し方はもちろん、量刑を審理する裁判員へのケアが求められる。

裁判は10月31日に求刑、11月6日に判決が言い渡される。