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<福島第一原発>処理水賠償は約450億円に 11月6日から「未使用タンク解体」で廃炉スペース確保も

福島第一原子力発電所で2023年8月に始まった処理水の海洋放出をめぐり、東京電力は2024年10月30日時点で約310件・約450億円の賠償支払いを完了したと公表した。

中国の禁輸措置などによるホタテやナマコの取引中止の損害が多くを占め、1か月で約30億円増加した。

第一原発での処理水の海洋放出をめぐっては、11月4日に通算10回目の放出が完了し、これまでに約7万8300トン、タンク78基分ほどが薄められて海に放出されている。
次回の放出は、設備の点検を挟んで2025年2月から3月に実施される予定。

処理水放出の大きな目的の一つは、廃炉に向けて必要な施設を建設するためのスペースをあけること。
11月6日からは未使用タンクの解体作業を開始した。未使用タンク28基で手順を確認しながら除染・解体を行ったうえで、2024年12月下旬を目途に処理する前の“汚染水”が入っていたタンク300基あまりへの解体に着手。2025年1月ごろからは処理水をためていた溶接型のタンクの解体に着手し、タンクが置かれていいるエリアのスペースをあけていく計画。

第一原発2号機では事故後初めて微量の燃料デブリを格納容器外に出すことに成功し、3号機では燃料デブリの大規模取出しに向けて工程や予算規模の検討が行われている。
今後の廃炉に向け、燃料デブリの保管施設をはじめとした新たな施設の建設は急務。国と東京電力は2051年までに廃炉を完了させるとしている。