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「大阪・関西万博」4月開催 世界最大の木造建築物に福島の力 震災・原発事故を乗り越え新たな挑戦

2025年には世界から多くの人が集まる一大イベントが開催される。「大阪・関西万博」の開催だ。実は福島とも大きな関わりがある。

<大阪・関西万博開催を前に>
最先端の技術による演出に自然と調和するアートの世界...2025年4月、160の国や地域が参加する「大阪・関西万博」がいよいよ開幕する
2024年11月、福島・内堀知事が万博のマスコット・ミャクミャクと名刺交換。
「はい、こんにちは。福島県知事の内堀雅雄です。よろしくお願いします」
内堀知事は「この(万博の)間ですね、やはり国内外の方がたくさん集まっていただいて、今の日本、世界に通じる共通のテーマを見ていただくことは非常に意義がありますよね」と話す。

<巨大木造リングに福島の木材>
福島県も独自の展示ブースを出展するほか、期間中には国内外の被災地と連携し今後の災害に備える「創造的復興サミット」が開催される計画だ。
そんな万博の会場でひときわ目を引くのが、世界最大級の木造建築物、円周約2キロの巨大な「木造リング」。実はここに福島との深いかかわりがあるのだ。

大阪へと運ばれる木材。一本の大きな木材にみえるが、複数の板が張りあわされていることが分かる。
2024年3月、万博会場に向けて福島県産の木材が出発した。ウッドコアの朝田英洋取締役は「うちの方はこの上の部分の3分の1の(屋根を)やりました」と話す。
巨大リングを構成する木材の一部を製造した「ウッドコア」取締役の朝田英洋さん。「福島のスギはスラっと綺麗に真っすぐ育つあまり、まがったものとかそういうものが出ないので、福島のスギは非常に全国的から見ても良いスギが育つ地域になってます」という。
福島の木材への「愛」が止まらない朝田さん。浜通りは雪が少なくほどよい寒暖差があることから丈夫で良質なスギが育つ環境。朝田さんにはこの自慢の木材を通して、どうしても伝えたい思いがあった。

<震災と原発事故で避難>
2011年6月、「あっ・・ああ!そこだ!ここ家の裏庭!」「ここに置いてあったのなくなっちゃった、みんな(津波で)持ってかれちゃった」
2011年、福島県浪江町は津波に襲われ、原発事故で全町避難を余儀なくされた。町全体の面積の73%を森林が占め、林業が盛んだった浪江町はあの日を境に一変。まもなく創業100年を迎えようとしていた朝田さんの会社も運営ができなくなり、従業員はバラバラ...朝田さんも東京へと避難した。

<避難先から故郷へ>
事業の再開を目指すもなかなか合う土地が見つからず、いつのまにか震災から3年...町内の除染が進み、事業が再開できるようになったことからふるさとで再び一歩を踏み出したのだ。
ウッドコアの朝田さんは「やっぱりこの浪江の住みやすい土地で、先祖代々から受け継いだ会社もあったもんですから、そこでやっぱりやっていきたいって思いはかなり強くありました」と語る。

<安全対策に放射線測定>
「こちらにあります放射線検知器、セシウムチェッカーという物がありまして。一本一本木材の放射線をはかりまして。ほぼこの地域に入ってきた木材からは出ないんですけども安全対策ということで」
いままで、放射線量が出荷の基準を超えたことはないが、木材を加工する前と加工後の出荷前、2回の放射線量の測定は欠かさない。
震災のあと大きく落ち込んだ県内の木材生産だが、こうした生産者の努力もあり震災前と同じ水準にまで回復してきている。

また「ウッドコア」では、"強力で割れにくい"木材を作るため、電磁波で熱を発生させ木の板を貼り合わせる機械を国内初導入。8時間以上かかっていた接着作業が、数分ほどに短縮され、自慢の木材を速やかに流通ルートに乗せることができるようになった。

<万博に福島の林業の力>
福島の林業に必要なものは「揺るがない信頼」と「新たな挑戦」。
「ウッドコア」としてはじめての大仕事となる万博は、業界の未来を占う舞台だ。
朝田さんは「福島の木材を関西大阪万博で大量に非常に多く使ってもらってますので、この福島、そしてこの浪江の林業再生に向けて、山を整備しながら今後何十年何百年と繋がるような林業再生を目指していきたいなと思います」と話す。

半年で2800万人の来場を見込む「大阪・関西万博」。福島の魅力が、会場を包む木の香りとともに世界中の人々に届くことが期待される。