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都市部で進む二極化《福島県・路線価》 再開発進むいわきと郡山は上昇 福島と会津若松は横ばいか下落

「路線価」は道路に面する土地の1平方メートルあたりの評価額で、相続税や贈与税などを算定する基準になる。7月1日公表されたその路線価について、福島県内4都市で最も評価額が高かった地点。それぞれ2023年からの上昇率を比べると、郡山といわきでは上昇、一方で福島と会津若松は、横ばいか下落と二極化が進む傾向が浮き彫りになった。

地価公示価格などをもとに毎年7月1日に国税庁が公表する土地の評価額「路線価」。福島県全体の2023年からの平均上昇率は0.9%で、全国平均の2.3%を下回る結果となった。そのなかで着実に路線価を上昇させているエリアが・・・

福島テレビ・宮下真結子記者:「県内で最も高い路線価を記録したのが、こちらの通りです。通りには飲食店やカフェ等が並び、賑わいをみせています」

郡山市の「郡山駅前通り」は、1平方メートルあたり32万円で31年連続で県内最高。2023年からの上昇率は3.2%だった。

そして、郡山市を上回る伸びを維持するのが、2年連続で最高路線価の上昇率が県内トップのいわき市。「エスパルできたりとか、高いビルとか発達してきたなって感じしますね」と街の人は話す。駅周辺の再開発を背景に、いわき駅前大通りの上昇率は3.6%だった。
いわき駅を中心に店舗を展開する書店は、この再開発を着実に賑わいづくりに生かす取り組みを期待している。ヤマニ書房・山田幸夫専務は「イベントも一緒にやって行かないと、器とかそういったものだけでは、(昔の賑わいを)戻すことは難しいのではないかと思います」と話す。

駅前の開発が路線価の上昇につながった郡山市といわき市。これに対して明暗が分かれたとも言えるのが福島市だ。

福島テレビ・熊谷七海アナウンサー:「福島市内で最も路線価が高かった駅前通りです。このエリアでは、現在再開発が進められていますが、その計画には遅れが出ています」

福島市の駅前通りの上昇率は0.0%で、1平方メートルあたり20万円。全国の県庁所在地では、3.1%下落の鳥取市に次ぐワースト2位。
駅前通りで靴の修理・販売を行う大関さんは、人通りが減ってきていることを実感している。ヴェアクシュタットオオゼキ店長の大関悠人さんは「福島を離れる方もたくさんいらっしゃるとは思いますが、大人になっていずれまた戻ってきたい。またここに住みたいと思う街になったらいいなと思ってます」と話す。

地価はわずかに上昇しているものの、福島駅東口の再開発の遅れや西口のイトーヨーカドー撤退などが影を落としていると専門家は指摘する。福島県不動産鑑定士協会の石田英之副会長は「いま再開発事業であるとか、東西一帯のまちづくりであるとか、やや不透明な部分がありますので、それがはっきりと目に見える形になっていくと、より期待感が高まって、それも地価に反映されていくんではないかなと思っています」という。

そして、会津若松市。
最高路線価の神明通りは3.5%の下落。4年連続で下がり続けている。2020年に大型スーパーが撤退し、目抜き通りの約2500平方メートルが空き地に。現在はイベント広場として活用方法を模索している。会津若松商工会議所中小企業相談所長の長谷川剛さんは「あらゆる方々が連携して、地域活力アップという方向性に向かって団結して地域を盛り上げていくことが必要かと思います」と話す。

福島県内の都市間で生じた二極化。再開発と賑わいの好循環を生み出せるかが問われている。
福島県不動産鑑定士協会の石田副会長は「着実に(土地の)再活用が進行していくことも大事ですし、あとは自助努力として、中心市街地にどのように賑わいを作っていくのか、地元の商店街の方もそうですし、自治体と一緒になった取り組みが必要かなと思います」と話した。