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「なんでこんなの盗むかな」側溝のフタの窃盗相次ぐ 福島市7つの地区で被害額は約440万円に【福島発】

福島県福島市の郊外で、道路の側溝などに設置された格子状のフタ「グレーチング」の窃盗被害が相次いでいる。盗まれたグレーチングは約250枚。一体何が起きているのか、現場を取材した。

<7地区で247枚が盗まれる>
福島市がグレーチングの窃盗被害を、最初に確認したのは2024年7月。それ以降、住民などから情報が寄せられ、現在把握している被害は市内の7つの地区で合わせて247枚。被害額は約440万円に上る。
福島市の立子山地区では、10月5日と16日に合わせて約17メートル渡り道路脇の側溝に設けられた格子状のフタ・グレーチングが盗まれた。

<重さは約35キロ>
福島市飯野町でも、被害が確認されていた。散歩をしていた住民が被害に気づき、現在は人が転落しないように対策を取っていた。
グレーチングは、幅40センチ・長さ1m、重さは約35キロあり、簡単に持ち運べるものではない。
区長の斎藤修二さんは「なんでこんなの盗むのかなという憤り。早く捕まえてもらいたいですね」と話す。
側溝などに設置されるグレーチングは、雨水を排出するだけでなく、車両の通行を手助けする役割もある。

<被害現場の共通点>
今回の取材で分かった被害現場に共通することは、住宅が少なく夜間などは交通量が少ない山間の場所だということ。取材を続けると、住民から「乗用車の人が積んでいった、という話はきいたことがある」との情報が得られた。

<被害届を提出>
福島市は警察に被害届を提出し、夜間にパトロールを行うなど防犯対策を進めている。
福島市建設部道路保全課の八巻充晴さんは「グレーチングの上にペイントで色を塗ったり鍵をかけたり。そういった方法はあるようだが、費用も人件費もかかるということで、対策を模索している」と話す。
福島市では、盗難被害があった場所に転落防止の為にコンクリート製のフタを設置するなどして対応を進めている。

<目的はカネ?>
警察への取材では、同様の窃盗事件の場合、多くが転売目的で背景の一つに金属価格の高騰もあるのではないか指摘している。
一方で、今回の事案は単なる窃盗事件ではなく、側溝に人が転落する恐れがある「危険な犯罪」だ。
福島市と警察では、今後の被害を防ぐためにも山間部で見慣れないトラックなどを見かけた場合は通報するように呼びかけている。