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燃料デブリ 取り出し基準をクリア 事故後初めて原発敷地外に搬出へ デブリ分析が廃炉の方向性を決める

震災と原発事故から13年8ヵ月、燃料デブリは11月5日「取り出し」の基準をクリアし、福島第一原発の敷地の外へと運び出されることが決まった。
今後の廃炉にとってどのような意味を持つのか。

東京電力の担当者:「燃料デブリ回収可否の判断基準である線量率24ミリシーベルト/h以下であることを確認しております」

東京電力は5日、2号機の格納容器から取り出したデブリの放射線量を測定し、今後の作業を行える1時間あたり24ミリシーベルト以下の基準をクリアしていることを確認。今後、デブリを専用のコンテナに入れて「試験的取り出し」を完了させる計画だ。

福島県・内堀雅雄知事は「こういう困難な作業であるからこそ、安全を最優先に確実に取り組むことこれに尽きると思いますが、引き続き政府と東京電力に対し求めていきたい」と述べた。

福島第一原発の事故以降初めて、そして当初の計画から約3年遅れで敷地の外に運び出される燃料デブリ。今後、茨城県にある研究施設などで分析を行い、事故が起きたときの状況を推定するヒントになることが期待されている。

<記者解説>
震災と原発事故から13年8ヵ月でようやくの一歩と言える。作業を改めて振り返る。
準備のミスやカメラの不具合を軌道修正して、10月28日に取り出しに着手、11月2日に事故後初めてデブリを格納容器の外に出し、着手から1週間の5日、このデブリが「取り出し」の基準をクリアしていることを確認した。
当初の計画では「事故から10年」、2021年中に取り出しを開始する予定だったから現時点で約3年遅れていることになる。

◇取り出す量は3グラム以下とごくわずかだが、ここから進展はあるのか?
原発事故直後から廃炉・汚染水対策を担当する経済産業省の木野参事官は「デブリから得られる情報が今後の廃炉の方向性を決めるかもしれない」と話す。

経済産業省資源エネルギー庁・木野正登参事官:「成分を調べることで、どういった事故の過程を経たかとか、どういうルートを通ってきたかっていうのがある程度分かります。デブリの広がりとか、どの辺までデブリが落ちているかということもある程度予測がつく可能性もありますね。ある程度推定ができるっていうことは、次にどこに狙いを定めるかとか、どういうところを調査すればいいか(が分かる可能性がある)」

単純に「固いのか柔らかいのか」という情報からもレーザーなどで切って取り出すことが可能なのか、という方法の選択にもつながる。
また、分析で事故の時の状況が分かったり、今後いくつかのポイントで試験的取り出しを重ねていけば「この辺を重点的に調査しなくてはならない」「核燃料の割合が低いこの辺りから少し多めに取り出してみよう」など計画を修正するきっかけになることも期待される。