ふるさと納税もピンチ 福島・湯川村で返礼品のコメが受付中止に 新米価格の高騰が背景に
これからの年末に向けて、"駆け込み"での申し込みが増えるのがふるさと納税だ。
返礼品の定番として人気があるが、価格高騰により受付を取り止めざるを得ないケースも出てきた。
「令和6年度湯川村ふるさと納税の受付業務をただいまより開始いたします」
2024年5月、会津有数の"米どころ福島県"湯川村で始まったふるさと納税の受付。返礼品として人気を集めるコメを中心に、2024年度は前回よりも1600万円程多い、1億2000万円の寄附額を目標にしていたが...11月、コメについて受付中止を発表した。
湯川村の佐野盛至村長は「お米を楽しみに待っておられた方に対して、本当に申し訳ないなという気持ちでいっぱいです」と話す。
<コメ価格高騰が中止の背景に>
背景にあるのがコメの価格高騰により、「寄付額の3割以下」とする返礼品のルールを守ることが難しくなってしまったこと。
コメの取引価格の代表的な指標の1つ、「相対取引価格」によると、9月は2万2700円で過去最高を更新。初めて2万円を超えた。そうした中、これまでのように1万4000円の寄付に対し、新米10キロを返礼品として送ってしまうと、ルールの「3割以下」を超えてしまうことに。
そのため村は3割以下となるように、「7キロ」に減らした新米を返礼品として受け取ってもらうか、「全額返金」かを選んでもらおうと、対象者に手紙を送付。
現時点で、8割の人が「7キロ」の新米を選択してくれたが、2割は返金を希望しているということだ。
既に当初の目標額を上回る1億3000万円が寄せられていたが...。
湯川村の佐野村長は「(返金や中止で)村の事業の財源として、少なくなっていくということであります。今後二度とこのようなことがないように再発防止に努めて、信頼回復に全力をあげて取り組んで参りたいという風に思います」と話した。
<湯川村のコメ農家は>
ふるさと納税の受付中止について、湯川村のコメ農家は...鈴木正之さんは「(中止が)残念だっていうことはありますけど、コメの値上がりによって返戻金のパーセントがありますので、仕方がないんじゃないかなと思っていますね」と話す。その上で、鈴木さんはさらに品質を向上させ、ファンを増やしていきたいと考えている。
「色んな面で経費はかかりますけど、美味しくなるように色々手を加えながら頑張ってやっていきたいと思っております」鈴木さんはそう話した。
<対応を迫られる自治体>
ふるさと納税をめぐっては、ほかの福島県内の自治体も対応を迫られている。
例えば、県内の自治体で今年度上半期の寄附額が最も多い福島市では...。返礼品の内容を変えないために、前回よりも寄付額を引き上げて対応しているということだ。
これから寄附を検討されている方などは、改めて寄付額と返礼品を確認することが大切になりそうだ。