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高線量源の“土のう”回収準備 トラブルで中断<福島第一原発>

東京電力は福島第一原子力発電所で、大量に残る高線量の“劣化土のう”について、3月24日に、回収に向けての“破砕”作業を開始する計画だったが、トラブルによって中断したと公表した。
作業は3月24日午前8時から開始する計画だったが、水中に浮かんでいるロボットをつないでいたクレーンのフックが外れず、ロボットが遠くまで動けなくなってしまったもの。

土のうが残るのは、地下水などが燃料デブリに触れて発生した「汚染水」を浄化して「処理水」にする過程での通り道になっている建物で、プロセス主建屋と高温焼却炉建屋の2つ。
事故当時から、高線量の「汚染水」を浄化するため、放射性物質を吸着するゼオライトの土のうと、油分などを吸着する活性炭の土のうが大量に投入された。
ゼオライト土のうの表面線量は1時間あたり4400ミリシーベルトと高く、時間の経過によって劣化して破れるなどして、大部分が地下に流れ込み「汚染水」に浸かってしまっている。
2024年11月に採取された燃料デブリの表面線量が1時間あたり8ミリシーベルトなので、単純計算で500倍以上の放射線量。
このゼオライト土のうだけで、2つの建屋に合わせて約1300袋・26tが残されていると推計される。

集積作業は当初、2025年1月から2月の着手を計画していたが、現場が非常に高線量であることから、十分な安全対策をとる必要があるとして後ろ倒しした。
また、準備が整ったとして「早ければ3月19日から」としていたが、現場が暗く狭いことから慎重に作業を進めるとしていた。
3月24日は土のうの破砕を断念。東京電力は3月25日に現場の調査を行って原因を分析したいとしているが、作業の再開は見通せていない。

土のうの破砕後、破砕したものをロボットで集め、その後、地上階に移して脱水などをしたうえで一時保管施設に運び入れる計画。
作業の終了は2026年度から2027年度を見込んでいる。