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会津のオンデマンドバス 乗降はアプリや電話で予約 AIが最適ルート選定 地域の課題解決へ【福島発】

近年、運転手不足などを背景にその維持が課題となっている路線バスやタクシーだが、福島県会津若松市ではAIなどの最先端の技術でその課題を解決しようとしている。実証試験から3年、利用した9割が継続を望んだそのサービスとは?

■アプリや電話で乗降場を予約
2025年2月1日から会津若松市内で本格的に運用が始まったオンデマンド交通「MyRideどこでもバス」。時刻表や決まった運行ルートは無く、利用したい市民は、スマートフォンのアプリや電話で乗り降りする場所を予約することができる。
会津若松市のこのホテル、近くにバス停の看板は無いが、アプリ上ではバーチャルバス停となっている。アプリ上にあるバーチャルバス停の数は465ヵ所。
乗車の予約が入ると、バス内にあるタブレットに通知があり、予約状況や目的地、天候や道路状況などからAIが最適なルートを割り出す。
会津乗合自動車・津田弘幸さんは「さらに利便性を向上させて、細かいバス停外のところでも乗降をできるようなということで、利便性の向上ということをですね、目指してこれを始めた」と話す。

■既存交通機関の課題を解消へ
高齢者を中心に買い物や通院などの足には欠かせないバスやタクシー。
しかし、バス停が遠かったり、タクシードライバーの減少を背景に利用客の待ち時間が長時間化するという課題があった。オンデマンドバスの運用は、これらの問題を解消し、柔軟に効率よく利用者を送迎できるようにする狙いがある。
会津乗合自動車の津田さんは「特に会津若松はですね、道路がやっぱり全体的に狭い、市内の中心部はですね。このサイズを小型化して、さらには乗降場所を細かく設定することで、お客様により近く利便性の高い移送もできると思います」と話す。

■利用者の9割が運行継続を希望
「ありがとうございました。はい、気を付けて」
気軽に利用できる足として、多い日には1日で70人が利用するオンデマンドバス。3年前から始めた実証試験では、利用した人の9割が運行の継続を要望。また、約2割が外出機会が増加したと回答した。
「よく公共交通機関を使うんですけども、バスがない時間帯については、呼べば10分くらい待てばすぐ来るというのは、非常に助かっています」と利用者にも好評だ。
会津乗合自動車の津田さんは「生活弱者の方々にさらに優しいバスといいますか、そういったことで、さらにご利用をしていただければ幸いかなというふうに思います」と話す。

市内で運用されているオンデマンドバスは現在4台。先端技術を駆使して地域交通を維持する取り組みが進んでいる。

■キャッシュレス決済も導入
実際に利用した方に話を聞いてみると、「今まで通院のためにタクシーを利用していたが、オンデマンドバスを使い始めて待ち時間が減った」という声が聞かれた。
このオンデマンドバスを運用する会社が同時期に導入したのが、キャッシュレス決済だ。若者や外国人観光客も気軽に利用できるよう交通系ICカード「NORUCA」や電子決済サービスのPayPayなどを使えるようにしている。
会津若松市は、官民でデジタル技術を積極的に取り入れていて、今後の広がりに注目だ。