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燃料デブリ運搬容器に格納完了 複数に割れた?すべてを分析へ<福島第一原発>

福島第一原子力発電所2号機で行われている燃料デブリの試験的取り出しをめぐり、東京電力は4月22日、運搬用の容器への格納を完了したとして画像を公開した。
画像では複数の黒い点が確認され、東京電力は「我々としてはすべてが燃料デブリと考える」として、小さいものも含めてすべてを分析対象とする考え。
また「つかんだ燃料デブリが最初から複数個だったのか、容器に落としたときに割れたのかは分からない」としている。

採取された燃料デブリの放射線量は20cmの距離で1時間あたり0.1ミリシーベルト。
日本で自然界から1年間に受ける放射線量は平均で2.1ミリシーベルトとされているため、この年間の平均量に21時間で達する計算になる。
"20cmの距離で1時間あたり24ミリシーベルト以下"という"安全に外部に運搬できる基準"をクリアしていることが確認され、これから運搬に向けた準備を進める。4月23日にも、運搬容器ごと、放射線を遮ることができる専用のコンテナに採取した燃料デブリを入れて、試験的取り出し作業を完了する見通し。

一方、前回、2024年11月に行われた試験的取り出しよりも、今回は"奥"、格納容器の中心部に近いところを狙って採取を実施した。
違う場所でのサンプル採取がねらいで、燃料デブリの分布を明らかにするための材料としたい考えだが、前回の放射線量は同じく20cmの距離で1時間あたり0.2ミリシーベルト。格納容器の中心に近いにもかかわらず、放射線量は前回の"半分"だったことになる。
採取された燃料デブリは、遠隔カメラの映像で確認する限りでは黄色っぽい色で、7mm以内の大きさとみられる。


第一原発2号機では2024年11月、事故後初めてとなる燃料デブリの試験的取り出しに成功し、0.7gの燃料デブリが茨城県や兵庫県の研究施設で分析されている。
今回も作業が順調に進めば、前回と同じようにまずは日本原子力研究開発機構(JAEA)の大洗原子力工学研究所に運ばれ、分析が進められることになる。JAEAは1979年にアメリカ・スリーマイル島の原発事故で発生した燃料デブリの研究も行ってきた。前回採取された第一原発の燃料デブリについては分析中だが、これまでに核燃料の主成分であるウランが検出され「典型的な燃料デブリ」と評価しているところ。


燃料デブリ試験的取り出しの目的は、今後の大規模取出しに備えた取り出し工法の検討と、原子炉内でいまだ明確な把握が進まないデブリの分布の確認に貢献するため。

第一原発の1号機から3号機までには880tの燃料デブリがあると推計されていて、国と東京電力は2051年までの廃炉完了を掲げている。