"除染土"首都圏での再生利用業務終了 環境省「プロジェクトの断念ではない」

環境省は、除染で出た土の公共工事などでの再生利用をめぐり、2023年度中の実施を予定していた首都圏での花壇などでの利用について、業務を終了したことを明らかにした。
埼玉県の所沢市や東京都新宿区の新宿御苑などで実施する予定だったが、反対などで実現はできず事業者との契約は終了したという。
環境省は「プロジェクトを断念したわけではなく、今後、調整が進めば、改めて業務に関する契約を締結するなどして進めていく」としているが、現時点では未定。
国は2011年の原発事故後の除染で出た土などについて、双葉町と大熊町の福島第一原子力発電所周辺に整備された中間貯蔵施設に運び入れている。
2015年3月から土壌の搬入が始まり、2025年3月時点で、約1409万立方メートル、東京ドーム約11個分が運び込まれている。
2025年度は特定帰還居住区域などで実施される除染の土壌など26万4000立方メートルを搬入する計画。
貯蔵されている除去土壌のうち、約4分の1にあたる放射能濃度の比較的高いもの(1kgあたり8000ベクレル超)については減容化のうえで県外最終処分、それ以外の放射能濃度の比較的低いものについては公共工事などで再生利用する方針。
中間貯蔵施設をめぐっては、中間貯蔵・環境安全事業株式会社法に「中間貯蔵開始後三十年以内に、福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずる」と定められている。ここに定められた県外最終処分の期限、2045年まではあと20年となっている。
最終処分の対象となる土壌を減らすためにも、再生利用の着実な実行が不可欠である。