「103万円の壁」学生よりも扶養内で働く女性にとって切実 経営者も苦慮 地方自治体にも影響【福島発】
「103万円の壁」所得税が課される年収の最低ラインをどう見直すかをめぐり、政界が紛糾している。年末を前に、給与収入を調整する動きも強まるなか、学生や働く母親たちはこの議論をどう見ているのか?
<大学生はどれくらい意識?>
「103万円の壁」問題、学生たちはどのくらい意識しているのか。
「そうですね。最近すごい話題になってるなと感じますね」「そこまで(103万円に)達していないので(引き上げの)必要性はあまり感じてないです」と福島大学の学生。学生たちに話を聞くと、多くがアルバイトはしているものの働き控えをするほどではない様子。
しかし、一部からは...飲食店でアルバイトする学生は「月10万いかないくらいですかね。結構入ってて。趣味とかの方にお金をかけたいなと思うと、(最低10万円がないと)厳しかったり」と話す。
<夫の扶養内で働く女性は深刻>
一方、働く女性にとってはより深刻な問題だ。
福島県福島市で子育てアイテムの製造・販売を行うマザーソリューション。10人中6人のスタッフが夫の扶養に入っていて、いわゆる「103万円の壁」を意識しながら働いている。
マザーソリューションの齋藤祐子社長は「(12月は)かなり厳しいです。本当にパソコンのシフトとにらめっこしながら電卓を叩いて、もうここで打ち止めだねっていう話し合いを結構しますね」と話す。
<経営者も苦慮>
この会社では、時給が数年間で約150円上昇。その影響もあって11月から3人のスタッフが1日の勤務時間を3時間ほど減らしている。
齋藤社長は「3人だとしたら(一か月あたり)20時間かける3人で60時間、60時間の労働力って本当にすごく大きいので」と話す。
<早く結論を出して>
「壁」を飛び越えるかどうか、今まさに瀬戸際の女性従業員もいる。「働き方を自分なりに変えなくてもいいのかなっていう想いとただそれ(引上げ)がいつなんだろうっていうそれがありまして、やっぱりちょっと早く結論を出していただきたいというか」と困惑している。
引き上げ額をめぐり攻防が続く「103万円の壁」。与党は2025年度の税制大綱に123万円への引き上げを明記する方針だ。
<地方自治体の財源にも影響>
一方で、地方自治体に対する影響も指摘されている。
福島市長・郡山市長ともに市民の手取りが増えることの重要性は理解しつつ、慎重な検討を求めている。
郡山市の品川萬里市長は、11月22日の会見で「住民税および地方交付税の大幅減収が厳しい地方財政を圧迫して、住民サービスが結果として質の低下に繋がる懸念があるために、その部分は減少の部分は全額補填お願いせざるを得ない」と述べたほか、福島市の木幡浩市長は、11月20日の会見で「非常に地方財政への影響が大きいので、そういった面もあるということを十分に踏まえた上でご検討頂きたい」と話している。
生活に直結するこの議論。今後の行方が注目される。