<福島第一原発>3号機デブリ取り出しへ「アクセス経路」調査 線量は2号機より低いが水位が課題
国と東京電力は12月26日、福島第一原子力発電所3号機について、格納容器につながる配管付近の調査の結果を公表した。
燃料デブリの取り出しに向け、ロボットなどをこの配管から通せるか、配管付近の状況や放射線量などを確認するために調査を行っていたが、試験的取り出しに成功した2号機よりも線量は低いものの、配管の扉よりも溜まり水の水位が高く、手法検討への課題となっている。
第一原発2号機では、11月7日に事故後初めて燃料デブリの試験的取り出しに成功し、11月12日に第一原発の外へと運び出された。
3号機では燃料デブリの「大規模取り出し」として「原子炉内のデブリの一部をセメントのような充填剤で固め、気中で水をかけながら取り出す」という方法を検討中。東京電力が2025年度半ばまでに予算規模やスケジュールを検討するとしている。
今回の「調査」は、この大規模取出しや、その前段での試験的な取り出しも念頭に置いて、格納容器にアクセスできる経路を探すねらいで、「2号機でデブリを取り出した場所と同じ配管」の周りを対象に、カメラでの現場状況の確認や、線量計での放射線量の測定、周辺をふき取って放射性物質の量を測定する調査などを行っていた。
その結果、配管の扉付近の放射線量は1時間あたり最大で124ミリシーベルトと2号機よりも低く、周辺に障がいとなるような物質の堆積も確認されなかった。
一方で、原子炉内の溜まり水の水位はこの扉よりも高い位置にあり、水位を下げないとロボットの経路は確保できないと見られている。
国と東京電力はこの結果を踏まえ、今後の燃料デブリ取り出しに向けた対応を検討する方針。
福島第一原発の1号機から3号機までには事故で溶け落ちた核燃料=燃料デブリがあわせて880トンあると推計されていて、国と東京電力は「2051年の廃炉完了」を掲げている。
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