《復興》福島・大熊町に新たな交流施設グランドオープン 賑わいと雇用を取り戻すために 15年目の歩み
東日本大震災から15年目を踏み出した福島県大熊町にも新たな動きがあった。
■14年ぶりに町の駅前でお酒を
「グランドオープンです!どうぞ!」
3月15日大熊町のJR大野駅前にグランドオープンしたのは、貸しオフィスやホールを備えた産業交流施設の「CREVAおおくま」。さらに、7つの店舗が入る商業施設「クマSUNテラス」だ。
大熊町の吉田淳町長は「実は昨日、プレオープンで一部のお店をお借りして、飲食をすることが出来ました。14年ぶりに大野駅前でお酒を飲むことも出来まして、本当にここまでやってこれたなという風に感じています」と感慨深げだ。
■一時全町避難となった故郷
原発事故で一時全町避難となった大熊町、町の中心部、駅周辺にあった商店街もその姿を失った。
セレモニーに訪れていた吉田正造さん(94)も駅の近くで和菓子店を営んでいたが、原発事故を機に町を離れた。吉田さんは「令和3年3月19日に、(連れ添った妻が)天国に行っちゃったね。(今日の大熊の姿を妻が見たら)感激してるでしょうね。
すぐそこで見守ってるから」と話す。
■賑わいと雇用を生み出す施設
失われた賑わいと雇用...オープンした2つの施設ではあわせて200人から300人の雇用を生み出す計画だ。かつて町内で営業していた地元の文房具店もこの場所で再開。スタッフとして働く打田菜摘さんは、高校1年生の時に震災と原発事故を経験した。
打田さんは「震災前の大熊町も知っているので、またこうやって人が戻って来てくれてとっても嬉しいです。お子様も沢山いらっしゃっててとても賑やかで、どんどん(お客さんが)増えていったらいいなと思います」と期待を寄せる。
大熊を、福島を一歩でも前に進めたい。それぞれがあの日への思いを抱えて歩む15年目だ。