ニュース

いわきFCの新スタジアム 候補地は小名浜 収容人数は1万人程度・ビルディング棟の構想も【福島発】 

クラブ創設から10年。J2・いわきFCが新しいスタジアムの構想を発表した。候補地とされたのが、福島県いわき市小名浜。「アクアマリンふくしま」など観光スポットが集まる湾岸エリアだが、ここだけではなく福島県全体にさらなる賑わいをもたらすのか?新たな"拠点"となる施設に、期待が高まっている。



価値が生まれる創造の場に

サッカーJ2の「いわきFC」が、3月28日に公表したのは、新スタジアムの整備候補地だ。クラブを運営する「いわきスポーツクラブ」の大倉智社長は「価値が生まれる創造の場であるスタジアム・ラボにならないといけないと思っています」と語る。



候補地に選んだのは、イオンモールやアクアマリンふくしまが隣接する小名浜港の2.8ヘクタールのエリア。収容人数は1万人程度で、サッカーの試合がない日も利用できるビルディング棟を整備。スタジアムの周りには多目的広場もある構想で、今後土地を所有する福島県と調整を進めていく。



いわきスポーツクラブの大倉社長は「ここの事例が、スポーツの地域創生の一つのモデルケースとなって、どんどん全国に広がっていく。そして、いわきが世界から注目されるような場所になると信じて、一つ一つ乗り越えて頑張っていきたい」と話し、「地域をつなげる絆のスタジアム」を強調した。



候補地近くの観光施設も歓迎

いわき市小名浜にある、鮮魚店や土産店が集まる「いわき・ら・ら・ミュウ」。福島県内外から多くの人が訪れるこの施設でも、"熱気"が高まっている。
和食処とのがみの新妻篤さんは「ユニホームを着た応援の方が多数来ていただいていて、その話を聞く機会が多いので、よりそういう機会が増えることを楽しみにしています」と話す。




また、ホーム戦の日には現在のスタジアムでかき氷などを販売しているという「SnowBall」の落合里美さんは「人の流れが変わって、小名浜にたくさんの方が来てくれれば良い。サポーターの熱気がすごくて、その熱気がこちらに流れてくれればいい」と話した。

実現に向け大きな一歩 課題も

いわきスポーツクラブは、2023年6月に「スタジアム検討委員会」を立ち上げ、約20人の委員で議論を進めてきた。子どもたちからも意見を募るなどして「理想のスタジアム像」を築き、いよいよ実現に向けて大きな一歩を踏み出す。



一方で、大倉社長が「乗り越えなければいけない壁」と話す課題も残る。その1つがアクセス面だ。候補地から最寄りの泉駅までは約4キロ、車で約15分かかる。


また、候補地の周辺は「アクアマリンふくしま」や「イオンモール」などの観光・商業施設があり、現在も駐車場不足が課題になっている。
そうした中で、800台分の駐車場のエリアにスタジアムが建設されることになると、さらなる不足を引き起こす可能性がある。この懸念は土地を所有している福島県からも寄せられているということで、今後の焦点になりそうだ。


スタジアムの施設基準の例外適用を申請し、J1のクラブライセンスを取得したいわきFC。今後は、Jリーグにスタジアムの整備計画を提出する期限である2025年6月末までに具体的な予算や内容などを固めていく計画だ。そして、2031年のシーズン開幕までの完成を目指している。