郡山市長選挙・新人4人戦いの構図 投票率アップへ全国初の取り組み 投票で期間限定の特典も 福島
任期満了に伴う福島県郡山市の市長選挙は4月13日告示され、3期12年を務めた現職の品川萬里さんの退任表明で2005年以来、20年ぶりとなる新人同士の選挙戦となった。
立候補したのは、届け出順に元県議会議員の勅使河原正之さん(73)、会社経営の高橋翔さん(37)、前県議会議員の椎根健雄さん(48)、自営業の大坂佳巨さん(54)の4人。
郡山市は人口や事業所の数で県内の自治体のトップとなっていて、福島県にとってまさに商業・生産の要。郡山市の舵取りは市内だけではなく、福島県全体にとっても大きな影響を及ぼすことが確実だ。
■戦いの構図
前回4年前の選挙戦は、現職が3選を果たしたものの、敗れた2人の候補の票を足すと現職を上回り、刷新を求める声が多かったとも言える。
そして、今回の新人同士の戦い。現職の品川さんは、椎根さんの応援を明言している。前回、合わせて半数以上の票を獲得した2人は、勅使河原さんに一本化。さらに、勅使河原さんと政策が近いとして前回共に戦った高橋さんは、今回は自ら出馬した。
この戦いに大坂さんが加わり、ある陣営の関係者は「票の動きが読めない」「投票率によって結果が大きく変わるのではないか」と話す。
■投票率アップへ全国初の取り組み
このポイントとされている「投票率」。改善を図るための新たな取り組みが始まった。
14日開設された期日前投票所に設けられたQRコード。スマートフォンで読み込むと動画が再生され、投票したことを示すスタンプが発行される。郡山市の選挙管理委員会によると、全国で初めての取り組みということだ。
郡山市選挙管理委員会事務局の青柳光信事務局長は「選挙はみなさまの声を市政に反映する貴重な機会でありますので、ぜひみなさま、投票所に足を運んでいただければと考えております」と投票を呼びかける。
■スタンプで期間限定の特典
このスタンプで"特典"を受けられるのが、郡山カルチャーパークだ。
4月19日と20日限定で、遊園地のフリーパス券が200円引きに。また、レストランでは1000円以上の購入でジュースが一杯無料になる。
郡山カルチャーパークの小野美咲さんは「お子様と一緒に投票することで、将来お子様が大きくなった時にカルチャーパークで投票していたので、自分も投票してみようかなという気持ちになると思います」と話す。
郡山カルチャーパークでは、今回の実績を見て参議院選挙でも特典を検討している。
■課題は投票率以外にも
過去10回の投票率を見ると、30ポイント以上落ちている。前回は過去2番目に低い。陣営からは「市民の関心が高まらず手応えが感じられない」との懸念の声も聞かれる。
一方、郡山市には市民にとって重要な「課題」も残されている。
県内トップの人口ではあるが、人口減少は確実に進んでいて「雇用」、そして若い世代をひきつける「教育・子育て」の対応は争点になると見られる。また、駅前を中心とした交通の混雑緩和、度重なる水害への対応など市民生活の不安の解消も大きな宿題となっている。