火事で市内唯一の造船工場が全焼 火災から約1年での再出発 「復興に勢い」漁師からは歓迎の声【福島発】
2024年2月に福島県相馬市松川浦で発生した、市内唯一の造船工場が全焼する火事。火災から一年以上が経った2025年4月18日、新たな船出を迎えた。漁業関係者にとっては待ちに待った再出発となる。
■県などの支援を受け再建
関係者など約60人が参加した、福島県相馬市の松川造船の竣工式。
1941年創業の市内唯一の造船工場は、2024年2月の火事で全焼したが、福島県などの支援を受けて2024年11月から再建工事が進められていた。
■復興の加速に期待
きょうも水揚げが行われていた、相馬市の松川浦漁港。相馬双葉漁協に所属する漁船の多くは、松川造船でメンテナンスを行っていたため、漁業関係者にとっては待ちに待った再出発だ。
組合長の今野智光さんは「無くてはならない施設。これが完成したということは、今後復興に向けてさらに勢いづくと思っている」と話す。
■ふくしまの漁業を支える
火事から1年2カ月。ようやく迎えた"新たな船出"に、松川造船の早川宗延社長は「やっとこれでひと段落。感無量です。いずれは本操業を目指していくという、ランナーで言えば途中を走っているような状況ですので、彼らが最後まで走りぬけて本操業に入れるところまで我々も関連業者としては出来る範囲でお手伝いする」と話した。
■東日本大震災・福島県沖地震でも被災
これまで松川造船は、幾度となく困難な状況に直面してきました。2011年の東日本大震災では、地震と津波で壊滅的な被害を受け、事業再開まで約半年かかった。
さらに、2021年と2022年に相次いだ福島県沖地震で、相馬市は2年連続で最大震度6強に襲われ、屋根の水漏れや船を陸揚げする際のレールが歪むなど大きな被害を受けた。
それでも立ち上がってきたが、2024年2月に今度は火事で全焼し建造中だった漁船1隻も失った。
松川造船は、4月19日から10隻以上の漁船の建造に順次取り掛かる予定で、早川社長は「社員一丸となって進んでいきたい」と話していた。