郡山市長選挙 各陣営の選挙戦 20年ぶりの新人同士の戦い 4人の候補者が訴えたのは【福島発】
4月20日の投票まであと2日に迫った福島県郡山市の市長選挙。20年ぶりの新人同士の選挙戦、終盤を迎え4人の候補者がそれぞれ最後の追い込みをかけている。
■勅使河原正之候補の選挙戦
「よろしくお願いします、よろしくお願いします」前回の市長選で4万票余りを獲得しながらも涙をのんだ勅使河原正之さん(73)。
勅使河原候補は「早急に、安全・安心にそして暮らし続けられる、そういう郡山市が、まず急務です」と訴える。市役所職員、市議会議員、県議会議員と郡山市のために力を尽くしてきた実績。市街地の交通渋滞の解消、ICTを活用した防災など、大小さまざまな地元の課題に正面から向き合いたいと話す。
「各地区、すみずみまで歩かせていただいて、それぞれお時間をとっていただきながらその地区の課題というものを聞いてまいりました。やっぱ全体的な都市計画の見直しも含めて、まちづくりというものを考えていかなくてはならない地域だと僕は思ってます」
■高橋翔候補の選挙戦
「私はもともとこの福島、温泉がね、他の地域よりもいいなと、いろんな種類があっていいなということで来てますんで」と話す高橋翔さん(37)。選挙活動の傍らにあるのはスマートフォン。演説をSNSでライブ配信し、画面の向こうの全ての世代に向けて発信している。
高橋候補は「若い人だけの政治ではございません。若い人を救うことによって結果として長期的に高齢の方々も安心した暮らしができるようなそういう政治です」と訴える。福島県内の選挙に出馬したのは今回で15回目。若さを武器に世界市場が見込める宇宙産業で経済を活性化させようと訴える。
「女性、こども、若者ファースト!これに尽きます。これを言えるのは私だけじゃないかと。ここをちゃんとやることによって長期的に見て、街どころか郡山市どころか福島県全体が変わります」
■椎根健雄候補の選挙戦
「椎根さん本当頑張りなよ、大きい声で。小さい声ではダメだから大きい声で、おら期待してるんだから」と支持者の声。
4期13年にわたり県議会議員を務めた椎根健雄さん(48)。郡山の声を県政に届け続けてきた実績を武器に選挙活動を展開する。
椎根候補は「お年寄りの方で合ったり、今住んでいる方々が、安心して暮らせるまちを、持続可能なまちをつくっていく」と訴える。郡山市の次の100年を見据えた教育・子育て支援の充実、そして農学部出身として地域を発展させるための「次世代に繋ぐ農業」だ。
「まだまだ農業問題や人口減少の問題の中で課題がありますので、そういった課題を解決できるように。皆様の声を聞いて、頑張ってまいります」
■大坂佳巨候補の選挙戦
「頑張ってください」「ありがとうございます、ありがとうございます。大坂佳巨です」大坂佳巨さん(54)が訴えるのは、経済活性化のための新たなルールを作ること。
大坂候補は「いままでの政治家のほとんどの演説って本当に面白くないですよね。選挙も全く面白くないですね。全然いいアイデアがないからですよ」と訴える。
時間の経過とともに徐々に価値が減るデジタル通貨を発行し、速やかに経済を回していこうというアイデアを提案。土木技術者として市内の洪水リスクを減らす工事の大切さも訴える。
「郡山っていうのは食料とれる・農業もある・工業団地もあって、そして真ん中は商業地帯・経済圏なんだから、これを活かすようなことをしなきゃいけない。自然豊かなこの環境を本当に大事にしていかなきゃいけない」
決戦は20日、日曜日。福島県内の商業をけん引する郡山市の新たなかじ取り役が決まる。
■郡山市長選・記者解説
ーーあと2日となったが、市内の雰囲気は?
前回の投票率が過去2番目の低さと市民の関心の低さが懸念されているが、市の選挙管理委員会によると、4月17日時点で期日前投票をした人は約2万2千人で、前回の同じ時期と比べて1600人あまり増えている。
ーー20年ぶりの新人同士の選挙戦、どんな戦いになりそうか?
4人の候補者だが、勅使河原さんは、自民党郡山総支部の推薦を得て保守系の層を中心に支持を固めている。
椎根さんは、自民党以外の多くの県議会議員で構成される会派、「県民連合」や連合福島からの応援のもと戦いに臨んでいる。
高橋さんは、SNSなどインターネットを活用し、大坂さんは、路上での街頭演説などで独自の選挙戦を展開している。
ーー各候補者が重要視しているのは?
福島テレビでは候補者にアンケートを行い、経済・子育て・防災・高齢者支援・その他の重要度の割合を聞いた。
勅使河原さんは、経済・子育て・防災・高齢者支援を同じ程度に重要視していて、新しい駅やアリーナの整備なども公約に掲げる。
自身も3人の子どもの親である高橋さんは、子育てや次世代産業創出など未来への投資を主張する。
椎根さんは、経済と子育てを重視、物価高騰対策も重点項目にあげていて、給食費の無償化も継続したい考え。
大坂さんは、経済と子育てで8割近くを占め、独自通貨の流通という20代のころから練ってきたという政策を掲げる。
郡山市は、人口や事業所の数が県内トップなのでリーダーにも大きな期待が寄せられる。新しいかじ取り役が決まるのは、20日(日)だ。