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伝統を未来につなぐ 大堀相馬焼の窯元にインターンシップ 震災・原発事故から5000日<福島・浪江町>

東日本大震災の発生から2024年11月17日で5000日を迎えた。福島県浪江町にある大堀相馬焼の窯元では、伝統を未来につなぐ取り組みが行われている。

「ツー…パンパン…」職人の技を目に焼き付ける学生たち。
300年以上の歴史を誇る大堀相馬焼の窯元、浪江町の陶吉郎窯では11月18日まで3日間、後継者育成のためのインターンシップが行われた。

女子学生:「ここ上だけ?」
先生:「うん、この辺から、この辺から上だけ。あと1ミリ薄くして」

全国から陶芸や美術を専門に学ぶ学生6人が参加。浪江町での開催は初めてで、ろくろ成形や絵付けを体験するほか、震災から現在までの歩みも学ぶ。
美大で陶芸を専攻する学生は「実物とか見てすごい丁寧できれいだし、やっぱりなんか、やっている方々の精神というか、すばらしい心持ち・志があらわれているなと思って」と話す。

原発事故でいわき市への避難を余儀なくされた陶吉郎窯。
2023年3月、浪江町大堀地区で避難指示が一部解除され、2024年6月に13年ぶりに故郷での営業を再開した。陶吉郎窯の近藤学さんは「自分としてはやっぱり、大堀(地区)でやらないと大堀相馬焼の未来はないと思ってたので」という。

大堀地区には震災前、約20の窯元があったが、帰還したのは陶吉郎窯だけ。伝統を継承するため、新たな担い手たちに期待している。近藤さんは「強い意思っていうか、覚悟って言いますかね。そういうことで、ぜひここに来てもらいたい。で、窯元を目指してもらいたいっていうそういう気持ち」と話す。
福島大学大学院2年の伊藤礼香さんは「大堀で伝統を継承していくっていう、その信念というのが一番感じられて、やっぱりここで職人として働きたいっていうのが一番大きいですね」と話す。

浪江町でつなぐ大堀相馬焼の未来。職人の思いは、次の世代に引き継がれようとしている。