能登の酒を絶やさない!つながる酒造りの思い 福島の米と能登の塩がコラボ クラフトサケ醸す復興への一歩
能登半島地震から1年が経った。能登が誇る「宝物」を福島の「技」で応援したい、そんな思いが詰まった新しい味わいが生まれようとしている。
<新しい日本酒 クラフトサケ>
真っ白に輝く福島県のオリジナル米「天のつぶ」。大粒でさっぱりした味わいのこの米を使い「CraftSake(クラフトサケ)」という新しいカタチの日本酒が生まれる。
「クラフトサケは広く言うと日本酒というかお米のお酒。例えばハーブとかスパイスとか、コメ以外の素材も一緒に発酵させてつくる」と話すのはhaccobaの佐藤太亮代表。
<つながる被災地の酒蔵>
2021年に福島県南相馬市に誕生した醸造所haccoba(ハッコウバ)。東日本大震災からの復興の中にある福島県の浜通り。CraftSakeで人々の交流を深めようと生まれたこの場所に、今回新たな「つながり」が生まれた。
2024年元日に発生した能登半島地震の被災地・石川県輪島市。地震や火災で大きな被害を受けた輪島市・朝市通りにある日吉酒造店の日吉智さんは「なんとか朝市の火災はうちの横で止まって、建物が消失することはなかったが、やはり地震で土蔵がすべて倒壊して、蔵の被害は見た時点ですぐに『酒造りはできないな』と思った」と話す。
日吉さんが今回提案したのは塩。「輪島塩というものがあり、たまたま震災前にうちで持っていたものが残っていて、それが使えそうなので」と日吉さんは話した。
<全国の酒蔵が能登とコラボ>
地震のあと、強い思いを持った酒蔵が能登との「コラボ酒」を作るプロジェクトが全国各地で進んでいる。
日吉酒造店(輪島市)の日吉さんは「これをきっかけに、能登の震災も知ってもらいたい。どうなるか先は見えないが、再建したいっていう思いの中で、いま自分ができることを精一杯やっていこうと思っている」と話す。
「能登の酒を絶やしてはならない」と立ち上がったhaccoba。福島と能登をつなぐサケは2025年2月中旬に完成する。haccobaで販売されるほか、このプロジェクトを支援したクラウドファンディングの返礼品にもなる予定だ。
Haccobaの佐藤太亮代表は「瞬発的に『めちゃおいしい!』という風に思ってもらえる、ちょっと王道なというか、王道においしいと思えるようなお酒を醸したいなと思っているので、ぜひ飲んでいただけるとうれしい」と話した。
福島のコメの甘さの奥に、能登の塩辛さをキリリと感じる特別なサケになるように。復興の一歩が力強く踏み出されている。