《芥川賞》鈴木結生さん 本にまつわる恩師とのエピソードも 出身の郡山市からも受賞を喜ぶ声【福島発】
芥川賞に選ばれた「ゲーテはすべてを言った」は、福島県郡山市出身の鈴木結生さんの作品で、ゆかりの地には祝福と驚きが広がっていた。
<鈴木さん思い出の書店>
特設コーナーが設けられた郡山市の書店「岩瀬書店富久山店プラスゲオ」は、芥川賞を受賞した鈴木結生さんが市内で暮らしていた時に訪れていた思い出の場所だ。特設コーナーには『思いでの本屋です』と書かれた直筆のサインも展示されていた。
吉田顕店長は「本当に歴史ある賞ですし、郡山ゆかりの作家が受賞されたということで、本当に喜ばしく思っている」と話す。
本を購入した人は「23歳でゲーテ書くなんてすごいなと思って。郡山の縁で、書いている人が気になって買ってみた」と話した。
<福島は自分の原風景>
福島県内出身・在住としては、三春町の福聚寺住職・玄侑宗久さん以来24年ぶりに芥川賞を受賞した鈴木さん。
鈴木さんは「福島っていう場所は、色々なことを考える上での自分の原風景になっていることは確かなので、これから先、確かにそういうものを文学の場に残せる仕事をしていけたらなと」と語る。
受賞作の「ゲーテはすべてを言った」ドイツの文学者・ゲーテ研究の第一人者とされる主人公が、自分の知らないゲーテの名言と出会い、その原典を探し求める物語だ。
<恩師が語る小学生の頃>
一方「これはすごいことだなと。1年間だけの関わりではあったが、私の教え子でいてくれてありがとうって。本当にうれしい気持ちでいっぱい」と話すのは、郡山市立小山田小学校の横田安弘校長。横田校長は、鈴木さんが小学5年生だった時の担任でした。
会見で鈴木さんは、横田校長などが自身に読書を喜んで勧めてくれたことがいまにつながっていると話していた。
横田校長は「本当に本が好きなので、よく本を読んでいたという印象が残っている。本は心と頭の栄養だよという話はしてきた」と話す。
<読むだけでなく書くことも好き>
横田校長が大切にしているのが「SketchBookー夢の自由帳ー」だ。「これを私にプレゼントしてくれるのって大感激。驚きと感動でいっぱい」と横田校長が話すこの本は、鈴木さんが転出する時に、横田校長にプレゼントしたものだ。クラスの出来事をまとめて製本したもので、当時から読むだけでなく書くことも好きな小学生だったようだ。
横田校長は「やはり最初に書き始めた楽しさ。書く楽しさを忘れずにこれからも素晴らしい作品を世に送り出して欲しい」とエールを送った。
芥川賞の贈呈式は2月下旬に行われる。