中間貯蔵施設土壌の再生利用に福島市長「原発の恩恵が大きかった地域でやるべき」

福島市の木幡市長は、2月28日の記者会見で、中間貯蔵施設に保管されている除去土壌の再生利用の受け入れをめぐり「要請などがあれば、市民、議会と議論はしていかなければいけないと思っている」としたうえで、「原発の恩恵が大きかった地域で先行するべきで、被災地に先行しろというのは筋が違う」と考えを示した。
再生利用をめぐっては、2月24日に双葉町の伊澤町長が「首都圏の人たちへの理解を進めるには、まずは福島県内で再生利用に取り組む必要がある」として、個人的な考えだと前置きしたうえで「町のインフラ整備で必要になったタイミングで、住民・議会の理解を得て町内での再生利用を考えていきたい」と発言していた。
双葉町と大熊町にまたがる中間貯蔵施設は、2025年1月末の時点で1406万立方メートルの除去土壌が搬入されている。
国は、全体の約4分の1にあたる「比較的放射能濃度が高いもの」については量を減らして県外最終処分、それ以外の約4分の3にあたる「濃度が比較的低いもの」は公共事業などで再生利用する計画。
2045年3月までの福島県外最終処分は法律で定められているが、具体的な場所は決まっていない。
【木幡福島市長発言】
伊澤双葉町長の発言は、本当に覚悟を持って何とか突破口を切り開きたいということではないかと受け止めています。
中間貯蔵施設を受け入れていただいた大熊町、双葉町には大きな負担がかかっていると思っていますし、いつまでも2町にばかり負担を負わせるのはいかがなものかと考えています。
早いうちに除去土壌の県外処理ということも含めて理解醸成をしておくべきだったと思いますが、残念ながらその点はスピード優先で行ってしまって、県外での受け入れの理解醸成に困難をきたしていると思っています。
私としては国がしっかりと県外処理についての理解を求めて取組を加速すべきだと考えています。
みんなが負担を分かち合ってやろうというのであれば、まず真っ先に原発の恩恵が大きかった地域でやるべきだと思います。そこが先行しないで、被災地が先行してやれというのは、筋としていかがなものかなと思います。
例えば国会議事堂の庭あたりで全面的に植え込みで使うとか都庁の植え込みの前で使うとか少しずつ理解を広げていくことが先ではないかと思います。
要請などがあれば、市民、議会の皆さんと議論はしていかなければいけないと思っておりますが特段我々の方から進めるという考えは今のところ持っていません。
我々にそういうことを検討するようにいうのであれば、もっと別の方策を熱心にやるのが筋ではないかなと思います。