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<福島第一原発>処理水放出・賠償は550億円に 3月10日には次回の"準備"開始

福島第一原子力発電所で2023年8月に始まった処理水の海洋放出をめぐり、東京電力は2025年2月26日時点で約540件・約550億円の賠償支払いを完了したことを明らかにした。
中国の禁輸措置などによるホタテやナマコの取引中止の損害が多くを占め、約1か月で90件・10億円ほど増加している。

第一原発での処理水の海洋放出をめぐっては、通算11回目の放出の"準備"が3月10日に実施される見通し。
処理水が計画的に薄められているかを確認するため、一度、放出前の水槽で試験的に処理水を薄めてトリチウム濃度などを測定し、問題がないことを確認してから放出する。
この作業は安全性の確認のために年1回実施されているもので、測定で問題がなければ12日に放出が実施される見通し。

2023年8月に開始された海洋放出。これまでに通算10回の放出が完了し、約7万8300トン、タンク78基分ほどが薄められて海に放出されている。2024年度最後の放出でもタンク約8基分ほどを放出する計画。
また、2025年度については、7回に分けて5万4600トン、タンク約55基分を放出する計画で、これまでに海洋モニタリングで異常などが確認されていないことなどから、放出する処理水に含まれるトリチウムの濃度を2024年度よりも高くする計画。

処理水放出の主な背景にあるのは、第一原発の敷地を圧迫する1000基あまりのタンクを減らすこと。
2025年2月からは、放出によってカラになった溶接型タンクの解体も始まっているが、「燃料デブリ取り出しのための施設を建設する」として解体が決まっているのは21基のみ。

国と東京電力は2051年までの廃炉完了を掲げている。