新型コロナの現在 福島県で初確認から5年 専門家「気にしなくていい状況ではない」 未だクラスターも
最近は、新型コロナによる日常の制限をほとんど感じなくなったという人も多いかもしれない。一方で、医療現場からは改めて注意を呼びかける声が上がっている。
■初確認から5年
2020年3月7日。福島県内で初めて、新型コロナウイルスの感染が確認された。
その後は爆発的に感染者を増やし、式典やイベントも中止や縮小を余儀なくされるなど生活に大きな影響が出た。
2023年の5類移行に伴い日常的な制約はなくなったが、医療現場では今も警戒が続いているという。
■5類移行後も 減らない患者
福島赤十字病院脳神経内科・主任部長の中村耕一郎さんは「5類移行後も、流行期になると患者の数は決して少なくない。しかも、その際には入院患者も増えている」と語る。
厚生労働省によると、新型コロナの5類移行後の死者数は年間平均で3万人以上。
これは季節性インフルエンザの15倍で、死者のほとんどは65歳以上の高齢者だ。
福島赤十字病院脳神経内科の中村さんは「今でも年に2回、夏・冬に流行が見られる。その際に患者の数もかなり増えてしまうということは、接種率と関連があるかもしれない」と指摘をする。
■ワクチン接種率の低下
感染者が減らない原因として考えられるのがワクチン接種率の低下だ。5類移行後に、ワクチン接種が自己負担となったことが背景にあると見られている。
2025年に入ってからも、学校や介護施設などでクラスターが発生した事例があり、福島赤十字病院では基礎疾患のある人や高齢者のワクチン接種、そして「基本的な感染対策」の徹底を改めて呼びかける。
福島赤十字病院感染管理室の感染管理認定看護師・北村慶さんは「マスクをつける・手指衛生しっかりやるなど、日常から感染対策をしていただいて、自分がうつらない・相手にうつさないことがとても大切」と話した。
■免疫力について専門家の見解
福島県立医大・放射線健康管理学講座の主任教授・坪倉正治さんは「オミクロン株に対するある程度の免疫とか抗体とかは、ワクチンを打っている方が多いと思いますので、一度くらいは何らかの防御力はある状態だとは思う」と話す。
現在、多く感染が確認されているのはオミクロン株から派生した「JN.1」「KP.3」などの変異株。「毒性が弱く重症化はしにくい」ものの「感染力が強い」という特徴を持つ。
オミクロン株に対応するワクチンを接種した場合は、一定程度の抗体は所持しているということですが油断はできない。
坪倉さんは「高齢者に関していうと、2年前はオミクロン株であったとしても死亡者数が増えていたというのは明確にある。コロナ全体を一切気にしなくていいという状況ではまだないと言えると思います」