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震災12年「福島に生まれて・福島で育った」大人になり感じた大きな責任 命を守るため震災を伝える

震災・原発事故、未曾有の複合災害を経験した高校生。演劇を通じて伝えた"福島で生きる事"への思い。大人になり、子どもと関わる中で感じた大きな責任。これからの命を守るため、震災の記憶をつないでいく。

<震災の経験 母になり思う事>
宇田麻由さんは、2022年8月に長女の陽彩(ひいろ)ちゃんを出産した。母親となった今、幸せとともに大きな責任を感じている。

「あの時私は、うまく立ち回れなかった。母親と抱き合って、悲鳴を上げている事しかできなかったなと思って。今、子どもを産んでどういう風に立ち回ることができるんだろうって考える」

新たに誕生した"大切な命"を守るため、震災の経験を忘れることはない。
2011年3月11日、東日本大震災。沿岸部に津波が押し寄せ、東京電力福島第一原発で事故が発生。未曽有の複合災害が福島を襲った。

震災と原発事故から約5カ月後に福島県で行われた「全国高校総合文化祭」
震災の影響から一時は開催も危ぶまれたが、全国から文化部に所属する高校生が集まり、活動の成果を発表した。

当時、演劇部に所属していた宇田さん。開会式で披露した劇で忘れられないセリフがある。

「福島に生まれて 福島で育って 福島で働いて 福島で結婚して 福島で子どもを産んで 福島で子どもを育てて 福島で孫を見て 福島でひ孫を見て 福島で最期を過ごす、それが私の夢なのです。あなたが福島を大好きになれば幸せです」

この時のことを宇田さんは「福島に対する思いって言っていいのかわからないんですけど、このセリフをみんなに伝えようっていう気持ちが、本番で100%出たのかなって思う」と振り返る。

<震災を知らない世代に伝える>
当時「全国高校総合文化祭」の実行委員を務め、このセリフを考えた佐藤季さん。現在は小学校の教員となり、子どもたちと向き合っている。
この日、小学校で行われた避難訓練。震災を知らない世代にどう教訓を伝え、命を守ってもらえるか考えている。

佐藤さんは「絶対に各種災害は起きる。まず命を守ってほしい。命があればなんとかなる。被害を最小限にしていくために、共有していくことが大切なのかなと思うし、東日本大震災を経験していない子どもたちだからこそ気づく部分を私も知っていきたい」と語った。

<震災の教訓を娘に伝える>
高校を卒業後、介護福祉士として働き1年半前に結婚した宇田さん。今も、あの時のセリフを胸に暮らしている。
大切な娘へ、福島で何が起き、お母さんが何を感じたのか...一つ一つ話していこうと考えている。

「当たり前のことを当たり前じゃないんだよってことは、意識していてほしい」と話す宇田さん。「経験こそしてほしくないが、そう思っていれば今後何かが起きたときにどう立ち回るかっていうことにも繋がると思う」とこれから生きていく命への思いを語った。

震災の記憶をつないでいくことが、福島に生まれた命を守っていく。