【福島駅前再開発】新たに示された3つの案 最大60億円の負担増も 市民が集える施設になる?
新たに3つの見直し案が示されたJR福島駅前の再開発。しかし見直し案は、費用がこれまでの計画に比べて、20億円から60億円増加するという。
<3つの見直し案>
【A案】大屋根の上に人やモノが乗らないシンプルな構造
【B案】小規模スペースが繋がる複数の屋上広場がある。内部のホールも、フレキシブルな運用が可能。
【C案】B案をコンパクトにしたもの
<市議会でコスト増に質疑>
2月4日に開かれた協議会では、どんな声が出されたのか?
福島市・木幡市長は「コストが20億円程度増加しますが、使いやすい施設、市外からも人を集める選ばれる施設とするためには、やむを得ない判断をしたところであります」と説明。
議員からは「事業は縮小したんだけど(金額は)増えたよっていうのを、どう市民に理解してもらうかっていうのは非常に難しいと思うが」と質問。
木幡市長は「見直しの出発地点をきちんとお話したうえで、このように我々努力をして事業費を縮小しながら今こうやって進めているということを、皆さんに理解できるよう説明して工夫していきたい」と答弁した。
<負担増の費用に懸念>
4日開かれた市議会の全員協議会。
市側が示した公共エリアの基本設計案に対し、議員からは負担増の見込みとなった「費用」を懸念する声。さらに、今後の管理・運用面についても指摘が相次いだ。
「建設費が高くなったことによって(利用料金が)どうなるのか、お伺いしたいと思います」
<工期遅れでさらにコスト増も>
にぎわい・文化・つながりが生まれるーそのコンセプトを基に計画が進められている福島駅東口の再開発事業。2026年度に着工、2029年度から開業を予定している。工期が遅れれば、資材高騰などにより、現在の想定よりも負担が大きくなる懸念もある。
議員は「上限はこのぐらいでやっていきたいんだということを示して頂かないと、市民の皆さまにも説明できないと思うのでそこをお聞きしたい」と質問。
木幡市長は「最低限これぐらいの規模は必要なんだろうと、その場合にかかる経費はできるだけ抑えますけど、とりあえず今はこういう状況で」と答弁した。
市議会、市民の意見、さらに設計アドバイザーからの助言を踏まえ、検討を進める福島市。2月中には市民向けの中間報告会を行う。
<なぜ費用が膨れ上がった?>
3つの案の中で、最も費用が多くなるB案は最大60億円増加することから、木幡市長は「採用は難しい」としている。
残るA案は増える費用が20億円、そしてC案は20億から30億円となっているのだが、その背景にあるのが、会議室を当初の8から10に増やしたことなどが挙げられる。
<市民が使える施設になるの?>
一方、どう市民が使えるのか?専門家は、より具体的な議論が必要だという。
まちづくりを専門とする福島大学経済経営学類の吉田樹教授は「常に会議やコンベンションが開かれるとは限らない。平時に、普段から市民の皆さんが集まって来られる場所にすることが健全」と指摘する。
今回示された見直し案について吉田教授は「どういう形で市民が過ごせるようになるのか、具体的な姿がまだまだ見えていない。ここの場所も、街も好きになってもらわないと、無機質な建物になってしまう」と話した。
<民間エリアと公共エリア>
この場所が、市民の目的地となるか?ポイントとして吉田教授は「どの県庁所在地クラスの中心市街地もそうだが、1階は用途が埋まるけど2階・3階が埋まらない。民間エリアの動きと公共エリアが、どこまで歩調を合わせられるかが論点の一つ」として挙げた。
<検討進む民間エリア>
その民間エリアについては、2月4日に再開発組合が最新の検討状況を説明した。
民間エリアは、公共エリアの隣に建設予定で11階建て。1階はカフェに県産品を発信・体験する物産館などを予定。2階は福島グルメを一度に楽しめる体験型のフードホールを計画している。すでに運営を担う候補企業が3社あり、このうちの1社と具体的な交渉に入っているという。
また3階は多目的ラウンジやサービスオフィス、コワーキングオフィスなど複数の運営方法が検討されている。
そして、4階は医療サービスを提供する病院外来を計画。5階から11階は地元企業や大手企業の支社・支店が入るオフィスで、再開発組合は順次誘致を進めていくとしている。