【福島県の当初予算】2025年度は約1兆2818億円 担当記者解説 ポイントは「復興・創生」
「福島の未来」に関わる話題、福島県の新年度の当初予算案が2月4日発表された。
福島県の内堀知事は会見で「今回の新年度予算のネーミングでありますが、こちら『ふくしま復興・創生推進予算』であります」と述べた。
『ふくしま復興・創生推進予算』と位置づけられた2025年度の当初予算案。全体の規模は約1兆2818億円と前年度の当初予算よりも437億円増えた。
深刻化する人口減少や激甚化する災害への対応などを背景に歳出が増加。また、物価や賃金の上昇、景気の回復を背景に税収が増えると見込まれることから歳入も増加する見通し。
内堀知事は「次の復興期間においてもしっかりとした事業をつくる。財源の裏付けがあって、安心して関係の皆さんが復興に向かって取り組むことができるよう、私自身が先頭に立って取り組んでまいります」と語った。
<県政担当記者解説>
当初予算のポイントは、まず全体として2024年よりも増えている。そして復興・創生分を見ると、1割以上増えているというのが大きなポイントだ。
2025年度は「第2期復興・創生期間」の最終年度なので、県も「必要な予算はこの年度でくんでいく」という考えを示している。復興だけでなく、福島県には少子高齢化や地方としての魅力創出など、様々な課題がある。予算はまさに「私たちの税金の使い道」、さらに細かく事業内容を見ていく。
<予算の使い道を考える中学校の授業>
2月3日福島市の中学校で行われていたのは、国の予算110兆円あまりを財務大臣になって「どう集めて」「どう振り分けるのか」を考える授業。
男子「もっと年金減らしてもいいような」
女子「でもうちらが高齢者になったらさ」
男子「いやそう、そうなんだけど」
「子育て世代への支援を厚くすべき」「お金が足りないから税金を増やすしかないよ」様々な意見が飛び交う。
【重視するのは『年金・医療・介護』】
生徒は「これから少子高齢化で高齢者の数が増えるから、高齢者が受けられる利益みたいなものを増やしていくのがいいんじゃないかなと思いました」という意見だ。
【重視するのは『子育て支援』】
生徒は「借金が増えすぎてもだめだから、そのバランスが難しかったです」と話す。
「予算」は国や自治体にとっても「住民から集めたお金をどう使うのか」を示す重要な機会だ。
<福島県の当初予算案>
2025年度の福島県の当初予算案は約1兆2818億円。「第2期復興・創生期間」の最終年度を迎えるにあたり、この期間としては「復興・創生分」の予算が最大となっている。このうち、帰還を促進するためにはじまるのが「住宅再建支援」だ。
<住宅再建支援>
富岡町の大和田信成さん。復興拠点の避難指示が解除されたことをきっかけに自宅の再建を進め、2024年、新しい家が完成したが...大和田さんは「あの当時は本当に物不足っていうか、機材不足、電気製品不足、ボイラーとか温水器みたいな、そういうのも不足しててね。ちょっと値段跳ねあがりますよっては言われたんですけど」と話す。資材の高騰で費用は当初の見込みより1000万円ほど増えた。
県では物価の高騰が帰還を妨げてはならないと、当初予算案で帰還困難区域を含む6つの町村の住宅再建費用に4億500万円を計上。「帰還の後押し」を目指す。
大和田さんは「本当は誰でもいいから来てもらいたいんですよ。誰でもいいから、少しでも人口が多くなれば賑わいが出てくるんですよ」という。
<目的別予算案>
一方、当初予算案を目的別に見てみると、「教育費」「土木費」「商工費」がトップ3に入る。
「教育費」は学力向上だけでなく、すべての公立学校に教員サポートスタッフを配置するための「働き方改革」も。
「土木費」は、東日本台風で氾濫した阿武隈川で川幅を広げたり堤防のかさ上げをしたりする「災害への備え」など。
「商工費」は震災後に福島県で進む「水素」や「ロボット」などの研究を外に売り出していくための費用も含む。
最も多くを占める「教育費」について、中学生からは「未来」を見据えたこんな意見も...【重視するのは『教育』】「教育の発展もしていくことで、日本全体の技術革新が進む社会を目指したいなと」と話す。
福島県の未来を作るのに欠かせない「震災からの復興」と「若い世代への支援」。
当初予算案は県議会の2月定例会で審議される。
<予算から見る福島県の課題>
こうしてみると、予算から福島県が抱える課題が見えてくる。
県では8つの分野で「重点プロジェクト」を設定しているが、大幅に予算が増えている「復興」だけでなく、「若者のUターン」、そして「女性活躍」など多岐にわたる。
地域の魅力を高めて福島を「選んでもらえる」「来てもらえる」ことが、県そのものを維持することにつながる。
一方で、この予算を作っていくために福島県の借金は増え続け、県債の残高は1兆7千億円を突破する見通しだ。私たちも「無駄がないか」しっかりとチェックする必要がある。私たちも税金を出している、いわば福島県への出資者だから、1つ1つの事業、期待を込めて見守っていきたい。