処理水放出でカラになったタンク 側板を縦切りし撤去開始<福島第一原発>
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福島第一原子力発電所では2月20日、処理水放出によりカラになった溶接型タンクの側面部分の撤去がはじまった。
東京電力は、2023年8月からはじまった処理水の海洋放出をめぐり、放出によってカラになった溶接型タンクの解体作業を2月14日から始めている。
まずは1基目のタンク上部の「フタ」にあたる部分の撤去を行い、19日からは側面の切断を開始。側面は12分割する計画で、20日はこのうち2枚をクレーンでつり上げて撤去した。
タンクの解体には1基あたり2~3週間かかる見通しで、現在解体が決まっているのはあわせて21基。このうち12基は2025年度中に解体を目指す。
処理水の海洋放出をめぐっては、これまでに通算10回、タンク78基分ほどが薄められて海に放出されている。
この海洋放出の背景には、汚染水や処理水をためた1000基あまりのタンクが敷地を圧迫し、燃料デブリや使用済み燃料の取り出しなど、今後進められる廃炉の重要工程に向けたスペースが足りないという課題があった。
切断されたタンクはコンテナに収納し別の場所に保管する計画で、今回の解体後のスペースは、3号機の燃料デブリの取り出しのための施設を建設する方針。
国と東京電力は、2051年までに第一原発の廃炉を完了するとしている。