福島・高湯温泉 硫化水素ガス死亡事故から1週間 再発防止へ 源泉点検のルールを明確化 講習会開催も
福島県福島市の高湯温泉で3人が死亡した事故から一週間。源泉の点検に入り硫化水素中毒によって命を落とした3人。関係者は再発防止に向けて意識を高めている。
<源泉点検のため山に入る>
「これですね簡易測定器ですね。危ないという話だけではなかなか分からないので、こうしたものがあると、どこら辺にどういった危険があるかというのがわかりやすくなっていいかなと思います。風向きですとか、場所によって数値がすぐ変わるので、あくまで目安として気を付けながらやっていきたい」と安達屋・施設管理担当の佐藤由美子さんは話す。高湯温泉にある安達屋の佐藤由美子さん。防毒マスクを着けて、2月25日も源泉を点検するために近くの山の中に入った。
2月17日。高湯温泉では、花月ハイランドホテルの支配人など3人が源泉の点検で山に入り、翌日死亡が確認された。捜査関係者などによると、3人は山道から100メートルほど離れた窪地に倒れていて、死因は硫化水素中毒だった。
なぜ3人が源泉から離れた場所で硫化水素ガスを吸い込んだのか?事故に至った詳しい経緯や状況などは分かっていない。
<点検時のルールを明確化>
定期的な点検では。温泉が流れるパイプに詰まりなどないか、硫化水素の濃度を確認しながら慎重に清掃を進める。旅館周辺のパイプを点検しながら源泉へと上っていく。風のない穏やかな天気だが、こうした時こそ硫化水素が溜まりやすく注意が必要だという。
死亡事故を受けて、作業する人の距離を十分にとり、同時に硫化水素の被害に遭うことを避けるようにするなどより点検時のルールを明確化したという。
25日は3カ所の源泉を点検した。安達屋の佐藤さんは「いつもの作業だということで慢心せずに、一個一個確認しながら気を付けながらやっていければと思います」と話す。
<再発防止に向け講習会開催へ>
温泉の供給を維持する上で欠かせない点検。高湯温泉の旅館協同組合では、再発防止に向けて、今後は年に1度、冬の前に専門家を招いた講習会を開く方針だ。
高湯温泉旅館協同組合の遠藤淳一理事長は「我々もこういうことは二度とあってはならないですし、お客様にもいい温泉に入っていただきたいですし、そういう気持ちでやっていきたいと思いますね」と話す。
硫化水素事故を受けて福島労働局は25日、県内の旅館やホテルでつくる協会や組合に対し対策の徹底を要請している。